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博麗神社
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博麗 霊夢:
ただいま。あー、疲れたわ。
高麗野 あうん:
おかえりなさい。今日は朝から、
妖怪騒ぎが次々起きてましたもんねぇ。
高麗野 あうん:
妖精も妖怪も暇を持て余しているのか、
みんな霊夢さんで遊ぼうと張り切ってて……。
博麗 霊夢:
どいつもこいつも、はしゃぎすぎなのよ。
相手をする、こっちの身にもなってほしいわ。
高麗野 あうん:
本当に、お疲れ様でした……。
博麗 霊夢:
ありがと。まあ、どれだけ面倒くさくても、
妖怪退治は私の大事な仕事だから、仕方ないわ。
高麗野 あうん:
あはは。もしも博麗の巫女じゃなくなったら、
こんな面倒からも解放されるんでしょうかねぇ。
高麗野 あうん:
でも、巫女じゃない霊夢さんかぁ……。
それって、どんな感じになるのかしら。
博麗 霊夢:
そんなの、ここにいる私とは別人よ、別人。
高麗野 あうん:
えー? そうですか?
博麗 霊夢:
だって、ひとには誰しも、役割があるでしょ。
あなたは狛犬、私は博麗の巫女。
博麗 霊夢:
役割っていうのは世界に対する定義付けだから、
定義が変わったら、存在だって別物になるわよ。
高麗野 あうん:
うーん? なら確かに、巫女じゃない霊夢さんは
ここにいる霊夢さんとは、別人ってことに……?
博麗 霊夢:
そうよ。まあ、その定義も、
この幻想郷におけるものでしかないけど。
博麗 霊夢:
もっと大きな世界から見たら、私たちは
いったい、どう定義付けされるのかしらね……。
高麗野 あうん:
……でも、巫女じゃなかったとしても、
あなたのことは見守っていたいですね。
博麗 霊夢:
あんた……。
高麗野 あうん:
だって、たとえ別人でも、霊夢さんですもん。
毎日いろいろ騒動が起きて、面白そうですからね!
博麗 霊夢:
な、なんでそうなんのよ!?
まったく、失礼な狛犬ね!