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博麗神社
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博麗 霊夢:
よし。今日は、しっかりお掃除するわよ。
まずは、この隙間を……、あら?
伊吹 萃香:
やあ、霊夢。何持ってんの?
そいつは……煎り豆?
博麗 霊夢:
掃除したら出てきたの。
節分でまいた豆が残ってたみたい。
伊吹 萃香:
ふーん……あ、そうだ。次の節分のときは、
私に、鬼の役を任せてよね!
伊吹 萃香:
いやー、考えるだけで、ワクワクしてくる。
早くその日が来ないかな~!
博麗 霊夢:
あんた、わかってるの?
節分は、鬼を追い払う行事なのよ?
博麗 霊夢:
鬼のあんたが、それを楽しみにしてるなんて、
意味がわからないんだけど。
伊吹 萃香:
ちっちっち。節分は、鬼が鬼らしく目立てる、
楽しい行事なんだよ。
伊吹 萃香:
豆をぶつけられようと、みんなで盛り上がれるなら、
それで十分なの。
博麗 霊夢:
へぇ、そういうものか。
じゃあ、追い出された後は、どこに行くの?
伊吹 萃香:
う~ん……。
その辺りをテキトーにブラブラするだけかな~?
博麗 霊夢:
……つまり、特に何も考えてないってわけね。
伊吹 萃香:
まあ、どこに行くかなんて、
めいっぱい楽しんだ後に考えるよ。
博麗 霊夢:
ふーん……。もし、行く当てがなかったら、
うちの神社に来れば? お茶くらい出すわよ。
伊吹 萃香:
お茶ぁ? 酒ならまだしも……って、
どのみち、この神社に大した酒はないか。
博麗 霊夢:
大した酒がなくて、悪かったわね!
あぁ、余計な気を回して損したわ。
伊吹 萃香:
あれぇ? もしかして、
私のことを、心配してくれたの?
博麗 霊夢:
ま、まさか!
そんなわけないでしょ!
伊吹 萃香:
まあ、その気持ちだけ受け取っておくよ。
ていうか、私よりこの貧乏神社の心配をしたら?
博麗 霊夢:
見てなさい……。節分の日になったら、
私の豪速豆まきを、お見舞いしてやるわ。
伊吹 萃香:
あはは! その方ほうがにぎやかでいいね。
私も目立てるし、是非ぜひおねがい!