--------------
ルーミアの闇の中
--------------
ルーミア:
……え? 私に贈り物?
チルノ:
そうよ! あんた、あたいがこの真っ暗闇に
涼みに来るたび、寒いって文句言ってたでしょ?
チルノ:
だから、今日はショバ代も兼ねて、
こいつを持ってきたの! じゃーん!
ルーミア:
……ん? なにかしら?
暗くて見えないけど、なんだかいいにおーい。
チルノ:
ふっふっふ、聞いて驚け! これは、
たったいま神社から奪ってきた、極上の珍味!
チルノ:
その名も、闇鍋よ!
ルーミア:
闇……?
どういう食べ物なの、それ?
チルノ:
あたいもよくは知らないけど、
鍋を闇に持ち込むと、闇鍋に進化するんだって。
チルノ:
きっと、闇成分が鍋にしみこんで、味が変わるに
違いないわ。闇好きのあんたにピッタリね!
ルーミア:
へー。闇って食べれたのねー。それじゃあ
さっそく……って、この暗闇でどう食べるの?
チルノ:
箸と皿も、ちゃんとあるでしょ?
ほら、鍋の横……見えないけど。
ルーミア:
うーんと……。あ、これかな?
えーと、これをああして、こうして……と。
ルーミア:
よし、たぶん盛り付け完成!
闇鍋、いただきまーす!
ルーミア:
うあっつぅ!?
チルノ:
ぎゃーっ!? ちょっと、何こぼしてんの!
こっちにかかったんだけど!?
ルーミア:
ごめん、アツアツでびっくりしちゃった。
でも、次はだいじょーぶ。ちゃんとフーフーして……
ルーミア:
あーっ! まだ熱すぎるー!
チルノ:
あづーっ!? ま、またやったな!?
ちょっとあんた、食べるならもっと慎重に……!
ルーミア:
待って! 今掴んでるのは、きっと餅巾着のはず。
せめてこれだけでも、は……はふ……。
ルーミア:
あああ! やっぱり無理ー!
舌がぁ、舌が焼けるー!
チルノ:
おい、バタバタするな!
ここでそんなことしたら、また……
チルノ:
うわあああ、やっぱりー!?
あんた、鍋をひっくり返したわねー!?
チルノ:
うう、暑い……。せっかく涼みに来たのに、
これじゃまるで逆じゃない。もー、あたい帰る!
ルーミア:
むー、口が痛いよー。この鍋、
捕食者を寄せつけない力でも持ってるのかしら?
ルーミア:
これが、珍味闇鍋……。
闇を操る私にも、どうにもならない闇もあるのね。