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旧地獄
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ルーミア:
へー、地底って結構明るいのねー。せっかく
遊びにきてみたけど、私には眩しすぎるかなぁ。
水橋 パルスィ:
見慣れない妖怪ね。……まったく、近頃は、
地上の妖怪たちが気軽に地底へ来るから困るわ。
水橋 パルスィ:
少し前まで、ここは嫌われ者だけが集う
静かな場所だった。なのに、今は……。
ルーミア:
えー? どうして気軽に来たらダメなの?
遊びにいける場所は、多い方が楽しいじゃない。
ルーミア:
何も考えず、ふよふよ漂ってあっちこっち~。
あんたも、一回試してみたら?
水橋 パルスィ:
はっ……。何もわかってないのね。
私は、激しく妬み、そして妬ませる妖怪。
水橋 パルスィ:
そんな私がフラフラとあちこちを出歩いたら、
みんな嫌がるに決まってるじゃない。
ルーミア:
そーなの? よくわかんない。
水橋 パルスィ:
でしょうね。貴方は、地上の妖怪だもの。
本当……、その能天気さが妬ましいわ。
ルーミア:
うへー。そーやって、いっつも
誰かのことを考えてるのね。なんか疲れそ~。
ルーミア:
あ、そーだ! なら、こうしてあげる!
水橋 パルスィ:
えっ……!? あたりが、急に真っ暗に……。
貴方、どこにいるの? いったい何をしたの?
ルーミア:
嫉妬は、他人が見えるからしちゃうものよね?
だから、誰も見えないようにしてあげたの。
ルーミア:
ねえ、楽しい?
これなら、誰のことも妬まずに済むでしょ?
水橋 パルスィ:
な、何を言っているの? 私は、嫉妬心を
糧にする妖怪。こんな世界じゃ生きられないわ。
水橋 パルスィ:
早く、この闇をどこかへやって!
でないと、容赦しないわよ。
ルーミア:
えー? なんで怒るのー?
それじゃあ、はい。
水橋 パルスィ:
も、戻った……のね? よかった……。
水橋 パルスィ:
……貴方、嫌われ者の素質あるわよ。
それも、自覚がない分、凶悪ね。
水橋 パルスィ:
さあ、気が済んだなら、早く地上に帰って。
できれば、もう会わないことを願ってるわ。
ルーミア:
あらら。あの妖怪、闇が嫌いだったのかー。
ルーミア:
闇はこんなに優しいのに、変なの。
地底の暗さは、私の闇とは交われないみたいね。