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大図書館
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パチュリー・ノーレッジ:
誰かしら? 開いているわよ、どうぞ。
……って、あら?
古明地 さとり:
読書中ごめんなさいね、……ああ、気にしないで。
私は、参考文献を探しに来ただけだから。
パチュリー・ノーレッジ:
参考文献……?
古明地 さとり:
ええ。執筆のための資料に。
私、自分で本を書くことがあるから。
パチュリー・ノーレッジ:
へぇ、貴方が本をねぇ……。
どんなのを書いているの?
古明地 さとり:
物語よ。心理描写を、丹念に綴った。
古明地 さとり:
最近書いたのは、主人公が悪霊に堕ちるまでの
心情と、その末路を詳細に描いた物語だったわ。
パチュリー・ノーレッジ:
ふぅん、小説なのね。……って、ん?
古明地 さとり:
期待外れで、ごめんなさいね。貴方が考えたような
魔道書は専門外だから、私には書けないの。
パチュリー・ノーレッジ:
……ちょっと待って。
パチュリー・ノーレッジ:
貴方が話した内容の本、
私、読んだ記憶があるのだけれど。
パチュリー・ノーレッジ:
これじゃない……。たしか、この辺りに……。
……ああ、これだわ。
パチュリー・ノーレッジ:
これ、著者不明なんだけど、まさか……。
古明地 さとり:
あら、ここにもあったのね。
……そう、貴方の想像通りよ。
パチュリー・ノーレッジ:
ええっ!? この本、貴方が書いたの……!
最近読んだんだけど、とっても面白かったわ!
古明地 さとり:
本心から、気に入ってくれているのね。
ふふっ、ありがとう。嬉しいわ。
古明地 さとり:
ところで、あの棚にある文献なんだけれど、
全部借りてもいいかしら?
パチュリー・ノーレッジ:
ええ、もちろん。
パチュリー・ノーレッジ:
ただ、条件があるわ。もしも新作が完成したら、
真っ先に、私に読ませてくれる?
古明地 さとり:
ええ、わかりました。約束するわ。
頑張って書くから、楽しみにしていてね。