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紅魔館 厨房
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十六夜 咲夜:
お砂糖、いちご……、生クリームにバター。
ラム酒もある。これで準備万端かしらね。
フランドール・スカーレット:
なんだか、ずいぶんと真剣な様子ね、咲夜。
いったい何をしてるの?
十六夜 咲夜:
あら、妹様。お部屋から出られるとは珍しい。
宴会に、ケーキを持参しようと思いまして。
フランドール・スカーレット:
……ケーキ? それにしては
食材になる人間がいないみたいだけど。
十六夜 咲夜:
今日は、人間のケーキではありません。
人間の私が作る、人間が食べるケーキです。
十六夜 咲夜:
いちごの酸味と砂糖の甘さも、悪くないですよ。
さて、それでは始めますね。
フランドール・スカーレット:
ふーん、ずいぶんと、
いろんな材料を混ぜながら作るのね……。
十六夜 咲夜:
もし興味がおありでしたら、
作り方をお教えしましょうか?
フランドール・スカーレット:
うん! 私もやってみる!
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1時間後
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フランドール・スカーレット:
うぐう……。はっきり言って、美味しくないわ。
人間って、味覚音痴なのね。
十六夜 咲夜:
なら、こちらはいかがですか?
フランドール・スカーレット:
……あーん。もぐもぐ。
うん、咲夜が作ったほうが、全然美味しい。
フランドール・スカーレット:
私、ものを作るのには、向かないのかしら……。
咲夜みたいに上手には、絶対できないわ。
十六夜 咲夜:
ただ作った回数が違うだけです。
何回か練習なされば、すぐ上達するでしょう。
十六夜 咲夜:
何事も、まずは興味を持って挑戦すること。
その一番大切な才能を、あなたはお持ちですわ。
フランドール・スカーレット:
そう言うなら、またやってみようかしら。
まあ、私は壊す方が性に合ってるんだけど。
フランドール・スカーレット:
……それに、私はやっぱり、咲夜が作る
いつものケーキのほうが全然美味しいと思うわ。
十六夜 咲夜:
なら、明日の食事はケーキにしましょう。
もちろん、食材はいつものもので。