--------------
紅魔館
--------------
十六夜 咲夜:
グレオンちゃん、
どうか安らかに眠ってね……。
古明地 さとり:
……そう。あなたたちのペットが死んだのね。
十六夜 咲夜:
……あなたは!
どうして、ここに……?
古明地 さとり:
妹を探していたの。それにしても、
グレオンちゃんのことは、残念でしたね。
古明地 さとり:
……死が、悲しい?
十六夜 咲夜:
……ええ。とてもかわいい子だったから。
お嬢様やメイドたちにも、よくなついて……。
十六夜 咲夜:
いつか来るものだと、わかっていたけれど……、
いなくなると、やはり悲しいものですね。
古明地 さとり:
………………。
古明地 さとり:
……ううん。
グレオンちゃんは、ちゃんといるわ。
十六夜 咲夜:
えっ……?
古明地 さとり:
心を読める私には、わかるの。
グレオンちゃんは、あなたの心の中に、今もいる。
十六夜 咲夜:
私の、心の中に……。
古明地 さとり:
レミリアやメイドたちの心の中にも、ちゃんといる。
だから、死とは存在の消滅ではないわ。
古明地 さとり:
どんなものも、それを想う人の数だけ存在するの。
そう、この幻想郷さえ、人の数だけ存在する……。
十六夜 咲夜:
素敵な考え方ね。前向きで……。
嫌いじゃないわ。
古明地 さとり:
つまり、私たちがいるこの幻想郷も、
誰かの心の中の幻想郷である可能性がある……。
十六夜 咲夜:
え、ええと……?
古明地 さとり:
ううん。話し過ぎてしまったようね。
私はまた、妹を探しにいくわ。
十六夜 咲夜:
あの人と、こんなに話したのは初めてだわ。
きっと、励まそうとしてくれたのね。
十六夜 咲夜:
幻想郷は、それを想う人の数だけ存在する……か。
それにしても、不思議な話ね。