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紅魔館
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十六夜 咲夜:
ふう、なんとか仕事がひと区切りつきそうね。
あら、あの方は……?
アリス・マーガトロイド:
こんにちは。借りてた本を返しに来たわ。
十六夜 咲夜:
いらっしゃいませ。どこかの黒い魔法使いと違って、
きちんと本を返してくれるから助かりますわ。
十六夜 咲夜:
そうだ。あなた、紅茶がお好きでしたよね。
いつか、淹れ方を教わりたいと思ってたの。
アリス・マーガトロイド:
あら、いいわよ。今なら、ちょうど暇だし。
アリス・マーガトロイド:
茶葉のおすすめは、これとこれのブレンド。
お湯の温度は、少しぬるめがいいわね。
十六夜 咲夜:
ふむふむ、なるほど……。
アリス・マーガトロイド:
じゃあ、さっそくお湯を沸かし……きゃっ!?
アリス・マーガトロイド:
ゴホッ……えっ、なに、いまの……!?
そうか、人形の火薬に引火して爆発したのね!
アリス・マーガトロイド:
ああ、カップが粉々に……!
テーブルクロスは、すすだらけだわ……!
アリス・マーガトロイド:
ごめんなさい。悪気があったわけじゃないのよ。
これは、ちょっとした事故で……。
十六夜 咲夜:
ああ、よかった。
お嬢様に被害はなかったようです!
アリス・マーガトロイド:
えっ……いつの間に?
十六夜 咲夜:
すごい爆発でしたからね。
さあ、改めて、お茶の続きを教えて下さい!
アリス・マーガトロイド:
えっ、割れたカップは片付けられているし、
いつの間にか、新しいティーセットが……!
アリス・マーガトロイド:
そして、あとはオーブンに入れるだけの
お菓子たち! すごく可愛い……!
アリス・マーガトロイド:
そうか……。咲夜が
時を止めている間に、すべて?
十六夜 咲夜:
今の爆発で、新しいお菓子のアイデアが
閃いたものですから! 試作をしてみたんです!
アリス・マーガトロイド:
す、すごい……。爆発事故さえ、仕事のヒントに
してしまうなんて。これがプロのメイドなのね!
アリス・マーガトロイド:
この館の主は、こんなに優秀なメイドに
仕えてもらえて、本当に幸せ者ね。