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地下室
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フランドール・スカーレット:
あら? この気配は……。
古明地 こいし:
じゃーん! 遊びにきたよー!
フランドール・スカーレット:
やっぱり、あなただったのね。
今日は、何しにきたの?
古明地 こいし:
えへへー。あなたと遊びたくて。
あのね、今日は、宝物を持ってきたんだー♪
フランドール・スカーレット:
……宝物?
古明地 こいし:
うん! 見て見てー。セミのぬけがらでしょ。
ガラスのかけら。きれいな石。虫食いの葉っぱ。
フランドール・スカーレット:
干からびたカエルに、何これ。……柄杓?
こんなものが宝物なの? 変わってるのね。
古明地 こいし:
そう。どれも大事な宝物。あなたは、
どんな宝物を持ってるの? 見せてほしいな。
フランドール・スカーレット:
宝物……? 私の?
フランドール・スカーレット:
そんなもの、ないわ。
だって私は、なんでも壊してしまうもの。
古明地 こいし:
そうなの?
古明地 こいし:
……じゃあ、この石、いっこあげる!
フランドール・スカーレット:
……えっ? だってこれ、
あなたの宝物じゃ……!
古明地 こいし:
いいの! あなたに、もらってほしいんだ。
フランドール・スカーレット:
でも、これも壊しちゃうかも……。
古明地 こいし:
あのね、宝物って、思い出と繋がってるの。
一緒に遊んで楽しいってなった、今日の思い出。
古明地 こいし:
だから壊してしまっても、大丈夫だよ。
物がなくなっても、思い出は消えないから。
フランドール・スカーレット:
今日の楽しい、思い出……。
フランドール・スカーレット:
ありがとう。なるべく壊さないように
大事にするわ、これ。