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フランの部屋
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フランドール・スカーレット:
あーあ。今日は、お姉様と咲夜がいないのよね。
退屈だわー。何か面白いことはないかしら……。
紅 美鈴:
妹様、失礼します。本日のお茶菓子の
リクエストを聞きに参りました。
フランドール・スカーレット:
えー、なんでもいいわよ。しいて言うなら
咲夜のケーキだけど、今日はいないし。
フランドール・スカーレット:
何を食べたところで、
退屈なのは変わりないしねー……。
紅 美鈴:
ふむ……。でしたら、
本日は私のとっておきをお出ししましょう!
紅 美鈴:
きっと、咲夜さんにもできないことですよ。
ティータイムになったら、また来ますね。
フランドール・スカーレット:
咲夜にもできない、とっておきですって?
いったい、何をするつもりかしら。
フランドール・スカーレット:
でも美鈴、ちょっとポンコツなところがあるし……。
あんまり期待しないほうがよさそうね。
紅 美鈴:
よっ、ほっ! どうです、フラン様?
茶芸を見るのはひさしぶりでしょう。
フランドール・スカーレット:
確かに、ひさしぶりね。貴方がこんな
パフォーマンスをできること自体、忘れてたわ。
フランドール・スカーレット:
注ぎ口の長い……それはティーポット?
くるくる回して、よくこぼれないわね。
紅 美鈴:
そこはまあ、プロですからね。
さあ、お注ぎしますよ。よっと!
フランドール・スカーレット:
わっ! 背中側から注ぐなんて、すごいわ!
それに、一滴もこぼれずカップに入ってる。
フランドール・スカーレット:
カップの中でも、茶葉が回っていてきれいだわ。
これは、もう飲んでいいの?
紅 美鈴:
ええ、どうぞ! 本日は少し甘めに
お作りしました。お口に合うといいのですが。
フランドール・スカーレット:
ん、おいしいわ! 甘さもちょうどいい。
ふふ、たまに飲むと美味しいわね。
フランドール・スカーレット:
そういえば、今日のお茶菓子は何にしたの?
このお茶に合うものなんて、あったかしら。
紅 美鈴:
さすがに、洋菓子じゃ合いませんからね。
月餅をご用意してみました。いかがでしょう?
フランドール・スカーレット:
あら、ずいぶんと準備がいいじゃない。
これなら、お茶との相性もバツグンだわ。
フランドール・スカーレット:
普段は紅茶とケーキばかりだけど、
たまにはこういうのも悪くないわね。
紅 美鈴:
よかった! 喜んでいただけて何よりです!
どうせなら普段とは違うことを、と思いまして。
フランドール・スカーレット:
ええ、期待以上よ。
やるじゃない美鈴! 正直、見直したわ。
紅 美鈴:
えへへ……それほどでも~。
そうだ、お茶のおかわりはいかがですか?
紅 美鈴:
フラン様に喜んでいただけるよう、いつもより
多めに回し……ア゛ッ! あっっつ!!!
紅 美鈴:
うわー! すみません、やけどしちゃいました!
急いで冷やしてきますぅ~~~……。
フランドール・スカーレット:
はぁ。ちょっと褒めただけで取り乱すなんて、
やっぱりポンコツのままだったみたい……。
フランドール・スカーレット:
でもま、見ていて退屈しないし、
ひまつぶしにはちょうどいいのかしら? ふふっ♪