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妖怪の山
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魂魄 妖夢:
ごめんくださーい。あの~、新聞のことで
お聞きしたいことがあるのですが……。
射命丸 文:
おや、わざわざ来てくれるなんて。
いいですよ。どちらの記事ですか?
魂魄 妖夢:
はい! この記事です。夜の山に現れた、
俊敏で剛腕な二刀流剣士についてです。
魂魄 妖夢:
大木を軽々と斬り倒したという
この人について、もっと色々と知りたいんです!
射命丸 文:
おお! ちょうどよかった! その件で、
私もあなたに聞きたいことがあったんですよ!
魂魄 妖夢:
えっ、私に聞きたいこと? なんです?
射命丸 文:
まず最初に、剣の一閃で、大木を
斬り倒す感触は、どんなものなんですか?
魂魄 妖夢:
……はい? なんの話ですか?
射命丸 文:
だから、例の二刀流の剣士のことですよ。
魂魄 妖夢:
え? なんで私に聞くんです?
射命丸 文:
……え? だって、
聞けって言ったじゃないですか。
魂魄 妖夢:
え? え? でも、私に聞かれても……?
射命丸 文:
あの……、もしや覚えていないのでしょうか?
あの大木を、ご自身がお斬りになったこと……。
魂魄 妖夢:
自分が斬った……? うーん……、あれ?
……はっ、まさか! この記事の剣士って……?
魂魄 妖夢:
この前の、酔っぱらってた私!?
射命丸 文:
ああ~。なるほど!
酔っぱらっていて、記憶が飛んでいたのですね。
射命丸 文:
記事のことを聞きに来られたもんですから、
てっきり覚えているのかと思いましたよ。
射命丸 文:
では教えてください。ムシャクシャしてたとか、
行為に至った心理的要因があったのでしょうか?
魂魄 妖夢:
わ、わ……、私は、なにも覚えていません!
射命丸 文:
いや、そうおっしゃらずに、どうか真相を
お話しください! 悪いようにはしませんから!
魂魄 妖夢:
も、もう大丈夫です。これで失礼します!
射命丸 文:
あら、逃げちゃった……。
でも、新しいネタも掴めたわ。
射命丸 文:
白玉楼の庭師、泥酔で奇行!? ……と。
これはこれで、斬新な記事になりそうね。