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妖怪の山 深夜
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西行寺 幽々子:
この辺にニワトリの神様が……っと、いたいた!
こんばんは~。料理用の卵を分けてほしいの。
庭渡 久侘歌:
きゃ、きゃあ!? ま、また出ましたね、亡霊!
今回もニワトリたちを、さらうつもり!?
西行寺 幽々子:
また? 私は今来たばかりなんだけど?
今日は卵を分けてほしいの。
庭渡 久侘歌:
し、信用できませんね。あなたが犯人でないなら、
私の出す試練を乗り越えて、証明してください。
西行寺 幽々子:
いいわ。美味しい卵料理のためですもの。
その試練、お受けします。
庭渡 久侘歌:
実は、ニワトリを襲う亡霊に苦慮しているのです。
その亡霊を退治してくれれば、卵はお渡しします。
西行寺 幽々子:
わかりました。でも、犯人は亡霊じゃないようね。
……そうでしょう? そこの犯人さん?
河城 にとり:
あちち、鬼火が!?
な、なんでバレた!?
西行寺 幽々子:
だって、ごちそうのためだもの。
さあ観念して? 次は、もっと火力を上げるわ。
河城 にとり:
あ、あっちぃ!? 焼き鳥屋の食材の調達とか、
そんなこと言ってる場合じゃない! た、退却!
庭渡 久侘歌:
あ、熱い熱いっ!?
ちょっと、私も巻き込んでますよ!?
西行寺 幽々子:
あら、失礼。でも、犯人は追い払ったわ。
さあ、約束の卵をいただける?
庭渡 久侘歌:
まあ、約束ですからね……。ニワトリたちから
もらってくるので、しばしお待ちを。
西行寺 幽々子:
んー……、この焦げた匂い……。
炭火焼みたいで、食欲をそそられるわ……。
庭渡 久侘歌:
お待たせしました。これが約束の……?
ど、どうしました? 急に真剣なお顔をされて。
西行寺 幽々子:
私、やっぱり卵じゃなくて……、
あなたが欲しくなったわ。
庭渡 久侘歌:
な、なんですか急にそんな……、ええっ!?
西行寺 幽々子:
待ってる間に考えてたの……。
鶏肉の神様って、どんな味なんだろうって。
庭渡 久侘歌:
わ、私をそんな、食材を見るような目で
見ないでください! ひいぃ! 食べないでー!
西行寺 幽々子:
ああ、待って! 全部じゃなくていいの。
一口だけでいいから、かじらせて!