--------------
アリスの家
--------------
西行寺 幽々子:
悪いわね。こんなに、たくさんのお茶菓子を。
紅茶も、とっても美味しいわ。
アリス・マーガトロイド:
気に入ってもらえたなら、よかった。
でも、私のお願いも聞いてもらうわよ?
西行寺 幽々子:
ええ。着物の感想でしょう?
そのお人形さんの服、とても可愛いと思うわ。
アリス・マーガトロイド:
ありがとう。だけど今回は、私のよ。
今日は、自分で着てみようと思ってね。
アリス・マーガトロイド:
ほら、この着物なの。
さっそく着てみるから、待っててね……。
西行寺 幽々子:
あら、いい柄じゃない。
じゃあ、紅茶を飲み終える前には、済ませてね?
アリス・マーガトロイド:
大丈夫よ。……あら?
これは、どっちだったかしら?
西行寺 幽々子:
やれやれ……。この調子じゃ、待ってる間に、
懐石料理が作れそうね。手伝ってあげるわよ。
西行寺 幽々子:
はい、腕を上げて。そしたら、ここに手を通す。
ここは、ぎゅっと縛る! はい、そこ押さえて!
アリス・マーガトロイド:
な、なるほど……。結構難しいわね。
あなたがいてくれて助かったわ。
西行寺 幽々子:
で、最後にこうして……、はい。おしまい。
どう? 覚えられそう?
アリス・マーガトロイド:
ええ。これからは、一人でも着られそう。
……あら?
西行寺 幽々子:
どうしたの?
アリス・マーガトロイド:
これ、左前になってる! これじゃ死に装束よ。
縁起が悪いから、早く直さないと。
西行寺 幽々子:
あ、つい、いつも通り……。
あなたが着るときは、逆で覚えてちょうだい。
アリス・マーガトロイド:
今後は、そうするわ。
おかげさまで、着方はわかったからね。
西行寺 幽々子:
でも、なかなか着物美人ね、あなた。
幽霊たちが黙ってないかも。
アリス・マーガトロイド:
幽霊たち? なにそれ、どういう意味?
西行寺 幽々子:
ここは人形も多いし、実体のない幽霊が
欲しがりそうなものが、多いでしょう?
西行寺 幽々子:
そこに、お人形さんみたいな着物姿のあなた……。
みんなが、真っ先に求めるでしょうね。
アリス・マーガトロイド:
あなたが言うとシャレにならないわよ……。
着物を着るのは、時々にしましょう。
西行寺 幽々子:
あら、そうなの?
これでも、褒めたつもりだったのに。