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人間の里
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八雲 藍:
うーん、どれにすればいいのやら……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あら? 貴方は、たしか式神の……。
どうかしたの? 何か悩んでたみたいだけど。
八雲 藍:
ああ、貴方は薬売りの。
実は、橙へのプレゼントで悩んでいまして。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
橙って、貴方の式神の猫だっけ?
私でよければ手伝うわよ。仕事も終わったし。
八雲 藍:
本当ですか!? 助かります!
もう、かれこれ半日は悩み通しでして。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
そ、それは相当な悩み様ね……。
わかったわ。一緒に考えましょう。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
じゃあ、仕事に使う道具なんてどう?
例えば私なら、この変装用の編み笠みたいな。
八雲 藍:
うーん、橙は仕事という仕事はしてないんです。
ただ猫たちをよく世話していて、この前も……!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
(しまった。これは長くなるぞ……)
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あ~……じゃあ例えばだけど、
私はよく、兎たちの好きな人参を買って帰るわ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方も、その式神の好きなものを
買ってあげたらいいんじゃないかしら?
八雲 藍:
橙は、好き嫌いが多くて……。
この前も人参を食べるよう言ったんですけど。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
な、なるほどなるほどー。
それは大変だー。
八雲 藍:
はぁ。結局、何にすればいいのやら……。
あっ、そうだ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
何か、ひらめいた?
八雲 藍:
このプレゼントは、最近がんばってる橙への
労いなので、おもちゃに的を絞って考えます!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
おもちゃ……いいわね!
こうなったら私も、とことん付き合うわ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
うんうん。かわいい猫じゃらしね。
きっと、彼女も喜んでくれるでしょう。
八雲 藍:
毛玉吐きのお薬までもらってしまって。
本当に助かりました。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
いえいえ、それじゃ私は失礼するわね。
八雲 藍:
このお礼は必ずします。あっ、そうだ。
誰かへ贈り物をする時、私も一緒に考えますよ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
じゃあ、一緒に姫様の贈り物を考えてもらおうかな。
その時は、またよろしく頼むわね。