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白玉楼
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八雲 紫:
桜を眺めながら、お茶を一杯……。幽々子が
誘うだけあって、いい茶会だったわね。
魂魄 妖夢:
よかった、まだいらっしゃった! あの~、
お聞きしたいことがあるんですけど……。
八雲 紫:
あら、妖夢じゃない。
聞きたいことってなにかしら?
魂魄 妖夢:
実は、幽々子様の警護について、
改善すべき点がないか、お聞きしたくて……。
八雲 紫:
急にどうしたの? そんなことを気にするなんて……
なにか幽々子に言われちゃったの?
魂魄 妖夢:
むしろ逆ですよ! 私、最近は調子よく
警護役や庭師の仕事をこなせてるんです。
魂魄 妖夢:
だから、これまで以上に幽々子様に
何かしてあげたいな、と思って!
八雲 紫:
あら、感心ね。
そうねぇ、幽々子のためにできることといえば……。
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800年以上前
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八雲 紫:
そう……あなたは、覚悟を決めてしまったのね。
生前の幽々子:
ええ。私の、人を死に誘う能力も、妖怪桜となった
この西行妖も、この世に存在してはいけないのよ。
八雲 紫:
(そうして、あの子は自らの命を……)
魂魄 妖夢:
……紫様? どうかされましたか?
八雲 紫:
ああ……ごめんなさい。
幽々子の警護について、だったわね。
八雲 紫:
そうねぇ……身体だけじゃなく、彼女の心まで
しっかり守ってあげてちょうだい。
八雲 紫:
あまり顔に出ない子だけど、
心の奥では悩んでいるかもしれないから。
魂魄 妖夢:
なるほど! たしかに、身体を
お守りすることばかり考えていました。
魂魄 妖夢:
心をお守りする……楽しませればいいのかしら?
庭師の仕事はもちろん、料理も頑張って……
八雲 紫:
……ふふふ、すっかり夢中になって。
幽々子は、良い従者を持ったわね。
魂魄 妖夢:
うーん……って、あら!? 紫様は!?
お帰りになったの?
魂魄 妖夢:
とほほ……お客様のご帰宅にも気づかないなんて
良い従者への道は、まだまだ遠いなあ……。