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寺子屋
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上白沢 慧音:
……ふぅ。次の授業の準備は、こんなところか。
さて、少しヒマができてしまったな……。
東風谷 早苗:
お邪魔しまーす。
あ、いたいた。慧音さん!
上白沢 慧音:
おまえは……、守矢神社の巫女だったな?
私に何か用か?
東風谷 早苗:
はい! 実は私、最近、歴史にひじょーに興味が
ありまして。先生に教えてもらいたいな~、と!
上白沢 慧音:
それは感心だ。ちょうど時間もあるし、
なんなら今、幻想郷の始まりの話でもしようか?
東風谷 早苗:
……幻想郷の? あの、ここでは、
外の世界の歴史は教えてないんですか?
上白沢 慧音:
そりゃあそうだ。ここは幻想郷で、
私は幻想郷の歴史の編纂者なんだからな。
東風谷 早苗:
むむ、そうでしたか。私が知りたいのは、外の
世界の歴史なんです。それじゃあ、お騒がせしま……
上白沢 慧音:
待て。
上白沢 慧音:
お前は、人がなぜ歴史を学ぶか、
考えたことはあるか? 私の考えは、こうだ。
上白沢 慧音:
過去の出来事を知ることで、今を生きる者たちは
必ず得るものがある。だから、歴史を学ぶのだと。
東風谷 早苗:
得るもの、ですか?
上白沢 慧音:
ああ。それは、無用な戦いの避け方だったり、
賢い交渉の仕方だったり。あとは……、
上白沢 慧音:
そうだな。その地に暮らす人の心……、
そんなものも、歴史は教えてくれると思う。
上白沢 慧音:
お前も巫女である以上、
神社に人の信仰心を集めたいはずだろう?
東風谷 早苗:
は、はい。それはもちろん!
上白沢 慧音:
そのためには、まず、幻想郷に住む人間を深く
理解する必要がある。それに大いに役立つのが……
東風谷 早苗:
幻想郷の歴史……ってことですか?
おお、なんか、だんだん興味が湧いてきました!
東風谷 早苗:
慧音さん! いえ、慧音先生!
幻想郷の歴史、私に教えてください!
上白沢 慧音:
うん、いい熱意だ! では、この地にまだ、
大結界がなかった時代の話から始めよう……。
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10分後
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東風谷 早苗:
むにゃむにゃ……。
そこだ、ろけっとぱんち……ぐぅ。
上白沢 慧音:
起・き・ろ!!
喰らえ! 教師版三種の神器が一つ、剣!!
東風谷 早苗:
いたーっ!? うぅ、学ぶ意欲は満々でしたが、
まさかこれほど慧音さんの授業が退屈とは……!
上白沢 慧音:
なんだと……? そんなことを言う生徒には……
頭突きだ!! さあ、そこを動くなよ!
東風谷 早苗:
いやーっ!? やっぱ今のナシ、ナシです!
ごめんなさい、先生~!!