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迷いの竹林
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上白沢 慧音:
……ふう。相変わらず、ここは訪ねにくいな。
さすが、迷いの竹林というだけある。
上白沢 慧音:
さて……。妹紅、いますか? 最近姿を
見ていませんが、ちゃんと暮らしているのです?
上白沢 慧音:
貴方ときたら、不死にかまけて、すぐ不摂生を
するから……、たまには話を聞かせてください。
???:
ゴホゴホ……。うぅ、助けてくれ……。
上白沢 慧音:
茂みの奥から、声が? そこに誰かいるのか?
妹紅?:
その声……、慧音か? 私だ、妹紅だよ。
実は、ひどい病を得てしまってな……。
妹紅?:
この身は、死ねない身体。数日で治るだろうが、
……まいった。苦しくて、たまらないんだ。
上白沢 慧音:
ひどい声だ。永遠亭の薬師を呼びましょうか?
いや、先に私が介抱を……
妹紅?:
来るな! お前は人里の住人。お前から、
人間たちに病をうつしてしまってはコトだ。
妹紅?:
それに、輝夜の部下に頼るのも御免だ。
それよりも、私はろくに食べてなくてな……。
妹紅?:
できれば、滋養のつく美味いものを
用意してくれると、ありがたいのだが……。
上白沢 慧音:
そうですか……。ちょうど、いくらか
食材を持ってきていました。何か作るとしましょう。
妹紅?:
ごほごほ。
今は、とにかくいっぱい食べたい……。
上白沢 慧音:
では、鍋にしましょうか。身体も温まりますし。
妹紅?:
あ、味付けは、味噌がいいな……。
出汁は、昆布……ごほんごほん!
上白沢 慧音:
はいはい。わかりました。
妹紅?:
あー……、真っ白なやわい豆腐もほしいなぁ。
あと、にんじんは、たっぷり多めで……。
上白沢 慧音:
それは、自分で持ってくるんだな。
人を化かすのが大好きな、竹林の化け兎よ。
妹紅?:
え!? 慧音、な、なにを急に……?
上白沢 慧音:
ちなみに、最初から気づいていたぞ? 妹紅は、
こんな風に他人に頼れる器用さは持ってないからな。
因幡 てゐ:
ちぇー。なーにそれって感じですわー。でも、
ウソに気づいてたんなら、なんで料理してるわけ?
上白沢 慧音:
もともと、今日は妹紅と食事をするために来たんだ。
手伝いをするなら、お前にも分けてやっていいぞ?
上白沢 慧音:
これだけ量があるんだ。妹紅と私……、
お前の友人を呼んでも、充分足りると思うぞ。
因幡 てゐ:
むむ。なーんか手玉に取られるみたいで
癪だけど……、美味い飯には代えられないか。
因幡 てゐ:
永遠亭の厨房から、最高の食材をとってくるから
待ってなさい! そんで鈴仙も呼んじゃおーっと。
上白沢 慧音:
どうやら、今日は賑やかな食事になりそうだな。
……ま、たまには、こういうのもいいさ。