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迷いの竹林
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因幡 てゐ:
タラッタラッタラッタ♪ うさぎのダ……んん?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……はぁ。
因幡 てゐ:
ふ~っ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
きゃーっ!? ……って、てゐ!?
あなた、またこんな所で仕事をサボって……!
因幡 てゐ:
まーまーそれは置いといて。
ため息なんかついちゃって、どーしたの?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……実は、うちの薬を贔屓にしてくれてる
なじみのお客が、今度店を出すみたいなの。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
それで、お祝いに贈り物でも……と、思ったは
いいんだけど、何がいいか悩んじゃって……。
因幡 てゐ:
ふ~ん。客って人間でしょ?
それなら、四つ葉のクローバーは?
因幡 てゐ:
十万分の一の幸運! しおりにでも
仕立ててあげたら、人間は喜ぶと思うけど。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
たしかに、幸運祈願のお守りにはなるかしら。
ところでてゐ、貴方、仕事の方は……
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3時間後
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因幡 てゐ:
ふあ~、今日もよく怠けたわー。
さ、そろそろ帰ってご飯でも……あら?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
うう。四つ葉のクローバー、全然見つからない。
こんなに探してるのに、なんでぇ……?
因幡 てゐ:
なーんだ。まだ四つ葉探してたの?
鈴仙、ねえこっち見なさいよ~。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……てゐ、またいたずら?
あのねぇ、私は今、真剣に……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
え? これは……、貴方の足下にあるのって、
四つ葉のクローバー!? しかも一つじゃない。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あれもこれも……、ていうか全部?
うわ! 七つ葉まである!
因幡 てゐ:
ふっふっふ。これぞ、因幡印の幸運パワー。
人間には、その七つ葉を贈るがよい! なーんてね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……いえ、ありがとう、てゐ。そうするわ。
そうだ。この四つ葉は、貴方にあげる。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
それじゃあ、私はもう帰るわ。遊びまわるのも
いいけど、夕飯には、ちゃんと帰ってくるのよ?
因幡 てゐ:
……うむむ。何? このこそばゆい気分。
なんか私、ガラにもないことしちゃった感じ?
因幡 てゐ:
……ま、いっか。
たまには、人からもらう幸運も悪くはないわね。