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迷いの竹林
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因幡 てゐ:
おやおや? こーんな竹林の奥地に、
途方に暮れて迷子然としたお嬢さんがいるわー?
因幡 てゐ:
って、なーんだ天邪鬼かー。あんたのことは
知ってるよ。下剋上に失敗して追い回されてた奴だ。
鬼人 正邪:
お前は……、この竹林の主だな?
私を出口に案内しろ! ここは不快でたまらん。
因幡 てゐ:
うわー、迷子のくせに偉そー。まあいいけど、
案内料代わりに、下剋上の話でも聞かせてよ。
因幡 てゐ:
実は、興味あったのよねー。特に、針妙丸を
だまくらかして……ってとこが気に入ったわ。
鬼人 正邪:
ふっ、あれはうまくいったな。針妙丸の奴、
すっかり私を信じ込んで、利用されてくれた。
因幡 てゐ:
そういう快感、わかるわー。私もその手の
遊びが好きで、いろいろ考えるんだけどさ。
因幡 てゐ:
今は、幻想郷の神様たちをだます計画を練ってるの。
うまくいけば、神々の力が私のものになるのよ。
鬼人 正邪:
……ほう? お前、なかなか見所がありそうだな。
だが、たかが兎が、神を相手取るのは無理だろ。
因幡 てゐ:
そうでもないわ。私は、月の姫たちの信頼を
得てるし……、彼女たちを利用して、いろいろね。
鬼人 正邪:
へえ……。その計画、一口乗らせてくれないか?
何を隠そう、私もいたずらが大好きなもんでな。
鬼人 正邪:
それに、弱きが神をだますなんて、これ以上なく
楽しそうだ。……どうだ? 私は役に立つぞ?
因幡 てゐ:
ほんと? それはありがたいわー。
じゃあ、さっそくいいかしら?
因幡 てゐ:
計画には、守矢神社の宝物庫にある破魔矢が
必要なのよ。私は、永遠亭で準備があるから……
鬼人 正邪:
私に取りにいけってことか。ま、いいだろう。
……そろそろ出口だな。じゃあ、私は行くぞ。
鬼人 正邪:
ふん。神の力を奪う……か。ろくでもない
竹林にも、面白い話があったじゃないか。
鬼人 正邪:
しかし、私を信用するなんて、馬鹿な兎だ。
最後には私が力を奪って、幻想郷を……ははは!
因幡 てゐ:
おー、行った行った。あの方向は、妖怪の山ね。
まーまー、見事にだまされてくれちゃって……。
因幡 てゐ:
あんたは、私の遊び場……幻想郷の崩壊と支配を
企む天邪鬼。信用するはずないのにねえ?
因幡 てゐ:
さ。それじゃ、博麗と守矢の巫女にチクって、
宝物庫の盗人正邪を懲らしめてもらおーっと。
因幡 てゐ:
やー、だまされたと知った時の顔が目に浮かぶわー。
やっぱ、いたずらはこう愉快じゃなくっちゃね!