-------------- 永遠亭 -------------- 因幡 てゐ: 姫様ー。 頼まれてたお茶うけ、ここに置いとくわよー。 蓬莱山 輝夜: ああ、ありがとう。それにしても、今日は特別 退屈ねー。お客もいないし、永琳もいないし。 因幡 てゐ: 姫様は、引きこもり歴幾星霜の猛者でしょ。 暇つぶしの方法も、いろいろ知ってるんじゃないの? 蓬莱山 輝夜: そうでもないわ。だいたい、 屋敷でできることなんて、たかが知れてるし。 蓬莱山 輝夜: ……そうだ。 貴方って、もとは普通の兎だったのよね? 蓬莱山 輝夜: 妖怪に変じたのは、健康な生活を心がけた結果。 いつかそう聞いたけど、どんな暮らしをしていたの? 因幡 てゐ: んー? そんなの、興味あるのー? 蓬莱山 輝夜: ふふ。暇つぶしついでに、不老不死の蓬莱人が、 不老不死の妖怪になっちゃったりしてね? 因幡 てゐ: あはは、それ面白いわー。 いいよ、それじゃあ伝授して進ぜよー。 因幡 てゐ: 因幡流健康生活を送る兎の朝は早い。 まずは、朝日が昇る前に起き……、 因幡 てゐ: 新鮮な鶏卵を十個、生で飲み干します。 蓬莱山 輝夜: 鶏卵を……、なまで? じゅっこ? 味は……? 味はつけるの? 因幡 てゐ: つけません! その後は、ガッツリ運動です。 徹底的に身体をいじめ抜き、汗と欲望を排出! 因幡 てゐ: そして、お次は滝行! 生への感謝を叫び、 心身の隅々までを完全に洗い流します。 因幡 てゐ: それも済んだら、お待ちかねのご飯! 蓬莱山 輝夜: ご飯……! 朝は卵だけだったから、 きっと、たくさん食べるのよね……!? 因幡 てゐ: いいえ。栄養を考えた質素な飯を、ほんの少し。 濃い塩味と甘味は禁止。酒も一切飲みません。 蓬莱山 輝夜: ひどすぎる……! 因幡 てゐ: 後は、日暮れと共に就寝し、翌日も 同じことをするだけ! どう? 簡単でしょ? 因幡 てゐ: ま、たしかに、暇つぶしには最適と思うわよ。 姫様がやるなら、私も久々に励もうかなー。 蓬莱山 輝夜: うーん……。私には、ちょっと……。 これからも、ただの輝夜でいようかしらーなんて。 蓬莱山 輝夜: なんか、話を聞いただけで飲みたくなってきたわ。 私、ちょっと酒蔵に行くわねー。 因幡 てゐ: ……行っちゃった。 姫様ったら、ほんの冗談だったのにー。 因幡 てゐ: さて、それじゃあ昼寝でもするかー。寝たい時に たっぷり寝る。これぞ、真の因幡流健康生活よね!