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玄武の沢
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鈴仙・優曇華院・イナバ:
光苔は、どの辺りだったかしら。
あら? 川辺に座り込んでいるのは……。
村紗 水蜜:
はあああああー……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ねえ、そこのあなた。ずいぶん
落ち込んでいるようだけど、どうかしたの?
村紗 水蜜:
あ、ああ。貴方は、永遠亭の。
実はですね、私、少々悩んでおりまして。
村紗 水蜜:
これからの舟幽霊は、どうあるべきかと……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
はぁ?
村紗 水蜜:
私、最近あまり船を沈めていないんですよ。
舟幽霊なのに。
村紗 水蜜:
まあ、三途の川の渡し船に手を出す程度は
ありますけれど……、それも、たまにですし。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あー、まあ、里の人間を殺すわけにも
いかないしねぇ。
村紗 水蜜:
そうなのです。このまま船を沈められないのでは、
まるで陸へ上がった河童……、いえ、舟幽霊。
村紗 水蜜:
柄杓も使わねば、ただのお玉です! 妖怪としての
アイデンティティを失うわけには参りません!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
な、なるほどねぇ。……ああ、そうだ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方のその服、外の世界だと海軍の制服なのよ。
だから、船に乗って敵船を沈めるってのはどう?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方は空飛ぶ船の船長なのだし、命蓮寺主催で、
飛行船撃墜大会をやってみるとか?
村紗 水蜜:
船に乗って、敵船を沈める、ですか……!
村紗 水蜜:
大事な聖輦船を、そんなことに使うわけには
いきませんが……。でも、ちょっと面白そう!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
でしょ? もし、空中戦が実現したら、
私も、元・月の軍人の戦いかたを見せてあげるわ!
村紗 水蜜:
もしかしたら、河童の協力が得られれば、
飛行船の用意もできるかも……、よし!
村紗 水蜜:
そうと決まれば、さっそく聖に相談です!
どうもありがとう! 貴方に聴いてよかった。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
がんばってね! ……さて、こうなったら
私も空中戦の勉強をしなくちゃ!