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永遠亭
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八意 永琳:
あら、これは……?
八意 永琳:
文々。新聞……。ああ、あの鴉天狗の。
相変わらず、過激な内容ばかりね。
射命丸 文:
こんにちは。ご愛読ありがとうございます。
八意 永琳:
落ちていたから拾っただけよ。
射命丸 文:
実は今、永遠亭特集の記事を書いているんです。
薬の調合法を載せたいので、ぜひ教えてください。
八意 永琳:
それはいいけど……、
何か妙な記事は、書いてないわよね?
射命丸 文:
ぎく。……あはは、まさか。
そんなわけないじゃないですか。
八意 永琳:
怪しい……。
あ、そうだわ。
八意 永琳:
体の疲れを取る薬の調合法を教えましょう。
ただ、効果を実感しなければ書く意味がないわ。
射命丸 文:
そうですね。真実を書くのが記者の務めですから。
薬、ありがたく頂戴します。
射命丸 文:
ごくっ。
……あれ? なんだか眠くなって……
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数時間後
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射命丸 文:
はっ……! 私は、いったい何を……。
八意 永琳:
貴方に飲ませたのは、睡眠薬よ。寝ている間に、
貴方が執筆中の記事を読ませてもらったわ。
八意 永琳:
「特ダネ! 凄腕薬師の裏の顔」ですってね。
この記事は、いったいなんなのかしら……?
射命丸 文:
そ、それは、永遠亭特集の書きかけの記事……!
八意 永琳:
私が採血している写真に添えられた記事は……、
なになに?
八意 永琳:
「彼女が薬の代金に執着しないのは、患者から
得た抗体を薬にして転売しているからだ」
八意 永琳:
「彼女にとって患者とは、抗体採取のモルモットに
すぎないのかもしれない」……なるほどね。
射命丸 文:
え、ええっとぉ~……。
八意 永琳:
そんなに過激な記事を書きたいなら、
貴方には、もっと危険な薬を教えてあげるわ。
八意 永琳:
これは、毎晩、地の底に堕ちる夢を見る薬よ。
鴉天狗の羽毛から作ったの。ほら、飲みなさい。
射命丸 文:
す、すみませんでしたー!!
八意 永琳:
まったく、記者の悪知恵には困ったものね。