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人間の里
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八意 永琳:
……あの子の処置が終わったわ。もう大丈夫。
あとは安静にさせておいて。
上白沢 慧音:
本当に、ありがとう……。
貴方が来てくれなかったら、どうなっていたことか。
上白沢 慧音:
あの子が急に倒れてからというもの、
私は生きた心地がしなかったよ。
八意 永琳:
本人も不調に気づいていないようだったもの。
病気を突き止めるのは、医者でも時間がかかるわ。
上白沢 慧音:
……やはり、里に治療院を開かないか?
そうすれば、みんな喜ぶと思うんだ。
八意 永琳:
残念だけど、そのつもりはないわ。
八意 永琳:
私たちは、永遠を生きる身。
寿命が短い人間と共に生きることはできないわ。
上白沢 慧音:
……そうだな。その気持ちは、私にもよくわかる。
無理に来いとは言うまいよ。
上白沢 慧音:
それに、これまで以上に頼り切りになったのでは、
里にとっても良くないものな。
八意 永琳:
これからも、何かあったら、いつでも呼んで。
上白沢 慧音:
恩に着るよ。……そうだ! 治療院は無理でも、
たまに簡単な療法を教えに来てくれないか?
上白沢 慧音:
里のみんなが、ずっと健康でいられるように。
どうだろう?
八意 永琳:
ええ。それくらい、お安い御用よ。
じゃあ、マッサージでも教えに来るわ。
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数日後
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上白沢 慧音:
マッサージ講座、すごく評判がいいよ。
今日も大賑わいだ!
八意 永琳:
みんなに喜んでもらえてるなら、よかったわ。
里の子供A:
せんせー、こっちこっち!
昨日の続きを教えてよー!
里の子供B:
あっ、ずるーい!
えーりんせんせー、今日は私たちの番だからね!
上白沢 慧音:
ははは! 永琳先生は大人気だな!
里の子供たち:
えーりんせんせー!
八意 永琳:
永琳先生、か……。
昔、姫の教師をやっていた頃を思い出すわね。
八意 永琳:
はーい、いま行きますよー!