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永遠亭
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蓬莱山 輝夜:
……世間話に付き合ってほしい? もちろんいいわよ。
ちょうど私も、話し相手がほしいと思ってたの。
射命丸 文:
それはそれは。
いいタイミングでお邪魔できて何よりです~。
蓬莱山 輝夜:
永琳は出かけてるし、ゆっくりお話ししましょ。
今お茶を淹れてくるから、少し待っててね。
射命丸 文:
(フフフ、うまく騙せたわ。
本当は大スクープを掴んで、ここに来たのです)
射命丸 文:
(どうやら輝夜さんは、年下男性のお宅に通っている。
さあ、月の姫の熱愛疑惑を暴いてやりましょう!)
蓬莱山 輝夜:
はい、お茶をどうぞ。
口に合うといいのだけど。
射命丸 文:
あ、いただきます! ごくごく……よしっ。
ところで、一つお聞きしたいのですが!
蓬莱山 輝夜:
あら、もう飲み終えちゃったの?
よっぽど喉が渇いていたのね。いま注ぎ足すわ。
射命丸 文:
えっ! い、いや~、お構いなく。
このお茶、本っ当に美味しくて、つい~。
蓬莱山 輝夜:
あら、わかる?
それね、自分で茶葉から育てたお茶なのよ。
射命丸 文:
おおっ、なるほどー!
どうりで美味しいわけだ!
射命丸 文:
でも茶葉から育てるなんて、すごいですね。
……何かきっかけでもあったんですか?
蓬莱山 輝夜:
そうなの。実は、里のほうに行くことが増えてね。
お茶屋さんに茶の木の育て方を習っているのよ。
射命丸 文:
(たしかに、お茶屋の家って情報だったわ。
相手は、そこの若旦那か……)
射命丸 文:
そのお茶屋さんって、どんな方なんです?
詳しく教えてください!
蓬莱山 輝夜:
どんなって……物腰が柔らかくて、
笑顔を絶やさない素敵な人よ。
蓬莱山 輝夜:
もちろん私のほうが長く生きているけれど、
あの、お茶一筋の生き方には、憧れちゃうわ。
射命丸 文:
そんなに堂々と想いを聞かせてくれるなんて!
それならズバリ、好きなところは!?
蓬莱山 輝夜:
え、好き? ……それって、どういうこと?
射命丸 文:
なるほどなるほど。蓬莱人も案外、
初心なものですねぇ。恋心が何か、わからないと。
蓬莱山 輝夜:
そうじゃなくて。
私が誰に恋してるっていうのよ?
射命丸 文:
え? だ、だから、
お茶屋さんの若旦那に……。
蓬莱山 輝夜:
お茶屋は老夫婦の小さなお店よ? おじいさんが
店番で、私はおばあさんに教えてもらってるの。
射命丸 文:
ええーーー!? そんなバカな!
ってことは、まさか……。
射命丸 文:
年下男性っていうのは、店で顔を合わせるだけの
おじいさんだったってこと? ……ガックリ。
蓬莱山 輝夜:
それでね、昨日はお茶の……、ねえ聞いてる?
まだまだ私の話に付き合ってもらうわよ。