--------------
人間の里
--------------
藤原 妹紅:
ごめんくださーい。慧音、居るか?
上白沢 慧音:
妹紅、元気そうで何よりです。
今日は、どうしたのですか?
藤原 妹紅:
ああ。実は、子供とのうまい接し方について
教えてもらいたくてな。
藤原 妹紅:
この間、迷子を家まで送ろうとしたんだが、
途中で泣き始めてしまって……。
上白沢 慧音:
それで、子供との接し方ですか……。
お安い御用です。
藤原 妹紅:
助かるよ。慧音なら
子供のことをよく知っているから安心だ。
上白沢 慧音:
いいですか。肝心なのは、第一印象です。
心を通わせるには、それを磨くほかありません。
上白沢 慧音:
特に子供たちには独自のマナーがあるものです。
ですから、とっておきの挨拶を教えましょう。
藤原 妹紅:
とっておきの挨拶?
もったいぶらないで、早く教えてくれ。
上白沢 慧音:
どうぞ、お控えなすって!
私は里に住まいしワーハクタク、上白沢慧音だ。
藤原 妹紅:
な、なんだ、その挨拶……。
それが今の子供に流行っている、のか?
上白沢 慧音:
ええ。これさえ決まれば、子供の心をつかめること
間違いなしです。さっそく練習しますよ。
藤原 妹紅:
ど、どうぞ、お控えなすって……。
上白沢 慧音:
もっと元気よく、笑顔で!
自己紹介も忘れずに、さあ、もう一度。
藤原 妹紅:
どうぞ、お控えなすって!
私は……ふ、藤原妹紅だ!
藤原 妹紅:
(本当に大丈夫か、これ?
効果があるといいんだが……)
--------------
数日後
--------------
藤原 妹紅:
君、どうしたんだ?
何があったのか聞かせてくれ。
男の子:
ぐすっ……うっぐ……。
藤原 妹紅:
(迷子かな。……よし、一か八か、
あの挨拶を試してみよう)
藤原 妹紅:
どうぞ、お控えなすって!
私は悠久の時を生きる蓬莱人、藤原妹紅だ!
男の子:
えっ! ……その挨拶、知っているの?
どうぞ、お控えなすって!
男の子:
おねーちゃん、どうしよう。
ここで遊んでた友達と、はぐれちゃったんだ。
藤原 妹紅:
おお、そうだったのか。
大丈夫。私と一緒に、その子を探そう。
男の子:
妹紅おねーちゃん、じゃあね!
助けてくれて、本当にありがとう!
上白沢 慧音:
おや、妹紅。その様子だと順調そうですね。
あの挨拶の効果、実感してもらえました?
藤原 妹紅:
ああ、すごい効果だよ。おかげでうまくいった。
やっぱり慧音は頼りになるな。