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迷いの竹林
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藤原 妹紅:
うーん、さすがに疲れてるのかな。
あれだけ熱くなった後じゃ、仕方ないか。
比那名居 天子:
はぁ……こんなひどい目にあうなんて。
犯人を見つけたら、ぜったい懲らしめてやる。
藤原 妹紅:
お、天人だなんて珍しいな。
何かあったのか?
比那名居 天子:
あー、蓬莱人。実は山が放火されてね。
犯人を捜しているのさ。
藤原 妹紅:
物騒なこともあるもんだな。
それで、天人のお前がどうして、山の放火の犯人捜しを?
比那名居 天子:
ん? 危うく燃え広がるところだったから、
私が土砂崩れを起こして消し止めてやったんだ。
比那名居 天子:
それなのに妖怪どもときたら、文句ばっかり。
まだ火は小さかったのに、そこまでするかって。
比那名居 天子:
頭にきて地鳴りを起こしたら追い回されるし、
もう散々。なんて罰当たりな奴らだ!
藤原 妹紅:
それは災難だったな……。
悪いのは、その放火した奴だっていうのに。
比那名居 天子:
そう、そのとおりだ! だから私は、
犯人を捜し出して、問い詰めてやりたい。
藤原 妹紅:
そういうことなら、私も犯人捜しを手伝うよ。
手がかりはあるのか?
比那名居 天子:
そうだな……。たしか、火事の原因は火の玉だって
妖怪たちが言っていたな。
藤原 妹紅:
……火の玉?
比那名居 天子:
竹林の方向から数発、飛んで来たらしい。
だから、この近くに犯人がいると思う。
藤原 妹紅:
この近くに?
まさか、それって……。
比那名居 天子:
それと、炎の翼とか七色の光も見たって
よくわからないことも言っていたな。
藤原 妹紅:
……間違いない。犯人がわかった。
比那名居 天子:
この情報だけで!?
いったい誰なんだ、そいつは。
藤原 妹紅:
犯人は私だ。さっきまで輝夜と戦っていて、
火の玉を何発か飛ばしたんだが……、
藤原 妹紅:
山の方にも飛んでいった気がする。
迷惑をかけて悪かったな。
比那名居 天子:
なるほどなるほど! 原因がわかって一件落着だな。
さて、無事に犯人が見つかったことだし……。
比那名居 天子:
この緋想の剣で、懲らしめなくちゃね。
藤原 妹紅:
お、おい、待て待て!
比那名居 天子:
罪を冥々に得ることなかれ。
私を散々な目にあわせて、タダで済むと思うな!
藤原 妹紅:
その剣は洒落にならないぞ!
悪かった! 本当に悪かったから!