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人間の里
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射命丸 文:
おぉっと、団子屋に魔法使いが来ています!
特ダネになるかもしれません。まずは一枚……。
射命丸 文:
……と思ったけど、やめやめ。
ちっとも気分が乗らないわ。
霧雨 魔理沙:
おい、なんだよ。いつもなら、早く泥棒して
ネタを提供してください、とか言うくせに。
射命丸 文:
いえね、どうやら外の世界では、紙を使わない
新聞が流行っているそうなんですよ。
射命丸 文:
そんな新しい形の新聞が出たら、
絶対に幻想郷中で話題になるでしょう?
霧雨 魔理沙:
まあ、たしかに。そもそも、そんな新聞が
あるなんて話、こっちじゃ聞かないしな。
射命丸 文:
はい。だから先駆者になれれば、うちの人気も
うなぎのぼり間違いなし! なんですが……。
射命丸 文:
紙を使わないで、どうやって新聞を作るのかが
わからなくて。粘土板などでもないそうですし。
霧雨 魔理沙:
そんなの簡単だ。ほら、琵琶法師みたいに
語って伝えればいいんだよ。いわば音楽新聞だ。
射命丸 文:
ふむ、音楽新聞ですか。それはもう新聞と呼べる
代物なのか、少々疑問ではありますが……。
射命丸 文:
音楽を使って幻想郷のニュースを伝えるのは、
ちょっと面白そう。悪くないわね。
霧雨 魔理沙:
だろう? 儲かったら、分け前くれよな。
アイデア料だ。1割でいいぜ。
射命丸 文:
いいわよ。それじゃ、
まずは、あなたの記事でやってみるわ。
射命丸 文:
見出しは……、そうね。
『無銭飲食!? 霧雨魔法店店主、困窮か』で。
霧雨 魔理沙:
……あん?
射命丸 文:
お皿を次々積み上げて♪
魔法使いは脱兎と逃げた♪
霧雨 魔理沙:
はぁ……?
射命丸 文:
こちらの黒い魔法使い、実は食い逃げ常習犯♪
追われる犯人、追う店主♪ 逃走劇の始まりだ~♪
霧雨 魔理沙:
おい! 妙なリズムに乗せて
でたらめ言うのは、やめろーっ!