--------------
妖怪の山
--------------
射命丸 文:
ちょっと相談がありまして……。
このカメラのことなんですけど。
河城 にとり:
カメラ? 壊れたとかですかい。
それなら、ちゃちゃっと修理するけど……。
射命丸 文:
そうじゃなくて、性能の相談。これ、逆光では
上手く撮れないし、連写もできないでしょう?
射命丸 文:
そろそろ、もう少し
パワーアップできないかなと思いまして。
河城 にとり:
うーん? 連写はともかく、逆光については
今のままでも調整すればいけるはずだけど……。
河城 にとり:
ま、いいや。それなら、こいつを試してみて。
ちょうど試作品が組み上がりましてね。
射命丸 文:
……なに、このバカでかい筒のついたカメラは。
河城 にとり:
こいつはね、広角から超望遠までなんでも撮れる、
超高性能ズームレンズ付きカメラだよ!
河城 にとり:
連写速度は毎秒60コマを超えるし、もちろん
オートフォーカス機能付きで手ブレ補正も……
射命丸 文:
おお! 山頂を撮ってみたら、守矢神社まで
くっきりはっきり映ってるじゃないですか!
河城 にとり:
でしょでしょ、すごいでしょ? さらにさらに!
この望遠レンズは、ここをこうして回すと……!
射命丸 文:
え、なに……、きゃーっ!?
射命丸 文:
ぎゃっ!
い、いたたた……。なんなのよ、今の……。
河城 にとり:
なんと、レーザービームが撃てるのだー!
どう? 今ならお安くしときますよ?
射命丸 文:
こんなもん、いらないわーっ!
河城 にとり:
うぎゃあ~っ!?
ビーム、かっこいいじゃんかぁ~……!
射命丸 文:
……はぁ。
やっぱり、慣れ親しんだものが一番ね。