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妖怪の山
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射命丸 文:
これはどういうことですか、ニワタリ様!?
庭渡 久侘歌:
コケー!? なんですか、急に!
これは……、私について書かれた新聞?
庭渡 久侘歌:
ああ、先日取材に来た天狗が書いたものですね。
ふむふむ。よい記事に仕上げてくれています。
射命丸 文:
あなたの記事は、これから書くつもりだったのに
まさか、あいつに先を越されるなんて……!
射命丸 文:
こうなったら、私も対抗記事を書かなければ。
もっと斬新に、大胆に、刺激的な記事をね!
射命丸 文:
なにか面白いネタはありませんか?
里の鶏を誘拐したとか、実は地獄のスパイだとか。
庭渡 久侘歌:
え、えぇ~……?
そんな話、あるわけないでしょう?
射命丸 文:
じゃあ、閻魔様へのぶっちゃけトークはどうです?
普段は言えないようなこと、聞かせてください!
庭渡 久侘歌:
それなら……。やはり、お世話になっている感謝と、
あの厳格なありようへの、尊敬の念でしょうか。
庭渡 久侘歌:
ほら、こういうことは、面と向かって言うのは
少々気恥ずかしいですからね。ふふ。
射命丸 文:
いや、そういう感じじゃなくてですね。
もっとこう、攻めたネタがほしいんですよ。
射命丸 文:
たとえば、説教が長いとか……。顔を合わせりゃ
説教してきて、ちょっぴりウザい時もあるとか!
庭渡 久侘歌:
そんなことを言っていていいのですか?
もうすぐ、こちらに閻魔様がいらっしゃるのに。
射命丸 文:
ちょっ……。それ、早く言ってくださいよ!
射命丸 文:
また、あの長いお説教をいただいてしまう前に、
私は去るといたします。それでは!
庭渡 久侘歌:
まったく……。