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魔法の森
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風見 幽香:
ほら、もう逃げ場はないわよ。
観念しなさい。
チルノ:
うわわわ……けど、あたいはこの、
蜜の詰まった花を、持って帰らないと……!
風見 幽香:
まったく、どうして私の花にこだわるの?
花なんて、あちこちに咲いているでしょう?
チルノ:
だって、この花が一番立派だったから!
チルノ:
妖精のみんなと約束したんだ。
次の集まりには、面白いおやつを持っていくって!
チルノ:
この花なら、みんな絶対にビックリするはず!
だから、この花じゃないとダメなの!
風見 幽香:
なるほどねえ。妖精相手に本気を出すのも
バカらしいけど、見逃すのは……あっ、そうだわ。
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太陽の畑
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風見 幽香:
……ああ、あったわ。はい、どうぞ。
花の代わりに、これをあげるわね。
チルノ:
これは……瓶に入った蜜?
どうして、あたいにこれを?
風見 幽香:
それは、とっても特別な花の蜜なの。
持っていけば、みんなが貴方に一目置くはずよ。
チルノ:
ふーん、そんなすごいものなんだ。
じゃ、これをもらっていく! ありがと!
風見 幽香:
やれやれ。妖精ってホント、単純でいいわね。
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魔法の森・数日後
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チルノ:
あたいが持ってきたのは、これ!
特別な花の蜜! 妖怪から奪ってきたんだから。
クラウンピース:
へぇ、そんなスゴイものなんだ。
どれどれ……ぺろり。
クラウンピース:
うわっ、にがーい!?
なんだ、この蜜!?
チルノ:
えっ!? おかしいなあ、ぺろり……。
うわホントだ! めちゃくちゃ苦い!
クラウンピース:
み、水! 水ぅ~~っ!
……うっ、この水も苦い! なんで!?
チルノ:
うへぇ、こっちのアメも苦い!
……もしかして、この蜜のせい!?
チルノ:
くっそぉ~、あの妖怪のしわざだな!
あたいをだますなんて、とんでもないヤツだ!
風見 幽香:
ふふふ、様子を見にきて正解だったわ。
やっぱり楽しいことになってるじゃない。
風見 幽香:
なめたら苦味しか感じられなくなる蜜なんて、
捨てるしかないと思ったけど……。
風見 幽香:
いい使い道があってよかったわ。パーティーの
盛り上げにも、貢献できたみたいだしね。