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博麗神社
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鍵山 雛:
ふう。宴会となると、みんな賑やかね。
呑めや歌えやの大騒ぎ……ふふ。
高麗野 あうん:
守護神獣、こんなときこそ神社を巡回~っと!
……あれっ、どうして一人でそんな隅にいるの?
鍵山 雛:
あら、別にそんなつもりはなかったのだけれど。
……そうね、癖になっていたのかも。
鍵山 雛:
私は厄神だもの。楽しい宴会中に、私のせいで
誰かが不幸な目にあわないようにって。
高麗野 あうん:
やくじん……って、厄の神様のことよね?
高麗野 あうん:
その割に、そういう気配はしないわね。
神仏なら、私の能力で見つけ出せるはずなのに。
鍵山 雛:
神じゃなくて、妖怪の一種よ。
私は信仰じゃなくて、厄を集めているの。
鍵山 雛:
厄は人間に災いをもたらしてしまうから、
そうならないようにするのが、厄神の仕事。
高麗野 あうん:
へえ。それって、むしろ狛犬の方に似てるかも。
誰かを守る、縁の下の力持ち。お揃いだね~!
鍵山 雛:
確かに、そうかもしれないわね。
……ん? どうして、急に私の手を取るの?
高麗野 あうん:
もっと賑やかな場所に行こっ。ほら、こっち!
めいっぱい楽しまないと、もったいないわ。
高麗野 あうん:
ちょっとの災難くらい、大丈夫! 向こうで
騒いでるみんなは、そんなにヤワじゃないもの。
鍵山 雛:
それはそうかもしれないけど……。
わっ、ぐいぐい引っ張るわね。
高麗野 あうん:
あなたが神じゃなくても、見つけちゃったから。
とことん付き合ってもらうわよ、厄神さん!
鍵山 雛:
ふふっ、宴会の楽しさまで守護してるの?
狛犬さんには、敵わないわね。