--------------
人間の里
--------------
河城 にとり:
にっひっひ。あとちょっとだ。
これが完成すれば、あとは……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あとは、どうなるっていうのかしら?
河城 にとり:
ひゅい!? な、なんで兎がここに……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
夜の里でコソコソ動いてるヤツがいたら、
誰だって気になるわよ。それで、何をしてるの?
河城 にとり:
くぅ……。バレたならしょうがない。
これを作ってたのさ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
これは……。立体映像ってやつかしら?
河城 にとり:
さすがは、元・月の兎。こいつを使って、
お化け屋敷をしようってワケさ。すごいだろう?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ふ~ん、立体映像でお化け屋敷……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
全然ダメね。こんなちゃちな子供だましじゃ、
人間だって怖がらないわよ。
河城 にとり:
なにぃ!? これが子供だましだって?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
そうよ。怖がらせるんだったら、
とことんやらなくちゃ。例えば……。
河城 にとり:
ひゅい!? な、なんだ?
周りが全部真っ暗に……。
河城 にとり:
って、うわぁ! なんだこのでっかい蛇は!
こ、こっちにくるなあーー!!
河城 にとり:
あ、あれ? さっきの巨大な蛇は……?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
フフフ、ちょっと幻覚を見てもらったわ。
やるからには、これくらいリアルじゃないと。
河城 にとり:
げ、幻覚……?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
驚いてるようね。
ま、これに懲りたら、お金儲けもほどほどに……。
河城 にとり:
す、すっごい!!
ねえねえ、今のってどうやったの?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
え? どうやったって……。
河城 にとり:
今の幻覚を使えば、大儲け間違いなし!
急いで共同経営の準備を始めよう!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
自分の恐怖さえも商売にしようなんて……。
この河童の商魂には、感心するわ。