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紅魔館
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犬走 椛:
たまの休みだし、のんびり散歩でもと思って
こんな所まで来ちゃったけど……。
犬走 椛:
あの人、どう見ても寝てるよね?
紅 美鈴:
すぅ……すぅ……。
犬走 椛:
(吸血鬼の館には腕の立つ門番がいるって
聞いてたけど……この人が?)
犬走 椛:
(今日は仕事のことは忘れていたい。でも、
同業者として、ずさんなのは気になるし……)
紅 美鈴:
行かせません!
犬走 椛:
わっ! びっくりした……。
もしかして寝ぼけて暴れるタイプの人?
紅 美鈴:
そんなことしませんよ! 眠っていても、
不審者対策として、気を張り巡らせているんです。
犬走 椛:
寝てたのは認めちゃうのね……。
紅 美鈴:
さて、不法侵入であれば、
見過ごすわけにはいきませんが……。
犬走 椛:
違う違う! 居眠りしてたから、
少し驚かそうと思って。
犬走 椛:
私も山の警護をしてるし、
同業として注意喚起というか……。
紅 美鈴:
そういうことでしたら、ご心配なく。
さっき実証もしましたしね!
犬走 椛:
気を張り巡らせて警戒する、か……。
居眠りはともかく、便利そう。
犬走 椛:
ねえ、よかったらその「気」の扱い方、
私にも教えてくれない?
紅 美鈴:
ほほう、四千年の歴史の価値がわかるとは。
なかなか見所がありますね。
紅 美鈴:
お教えするのは構いませんが、その前に
まずはお手並み拝見! さあ構えて!
犬走 椛:
えっ!? ちょっと待ってよ。
今日は非番だから、剣も持ってないし!
紅 美鈴:
問題ありません!
拳を交わせば、実力はわかります!
犬走 椛:
問答無用ってこと!?
もうっ、やるしかないわね!
犬走 椛:
手合わせしてるうちに、もうこんな時間……。
休みが終わっちゃったよぉ。
紅 美鈴:
でも、たまには何も考えず、
思いっきり身体を動かすのも、いいものでしょ?
犬走 椛:
確かにね。なんだかスッキリしたわ。
紅 美鈴:
よかったら、また一緒に稽古しましょう。
「気」の扱い方は、その時にでも。
犬走 椛:
ほんとに? よーし! 楽しみもできたし、
また明日から、お仕事がんばろーっと!