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守矢神社
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犬走 椛:
落とし物は、これですか?
参拝客:
そうですそうです。間違いありません。
ありがとうございます。
犬走 椛:
次は、気をつけてくださいね。
犬走 椛:
お腹すいたぁ~……。
でも、お昼を食べる時間は、もうなさそうね。
犬走 椛:
もう休憩時間だって言ってるのに、
あの神様ときたら、一方的に雑用を押しつけて!
八坂 神奈子:
こんなに早く見つかるなんて。
天狗の千里眼って、ずいぶんと優秀なんだねえ。
犬走 椛:
お世辞はいらないので、今後は天狗を
好き勝手に使うのは、控えてもらえますか。
犬走 椛:
私たちのお役目は、あくまで警護。
雑用をさせたいなら、まず上を通してください!
八坂 神奈子:
はいはい、そうね。
覚えていたら、そうするわ。
八坂 神奈子:
ま、今日のところはとりあえず、
これでも持ってお行きなさい。
犬走 椛:
なんですか? この包み。
まさか今度は、届け物をしろとか言うんじゃ……。
八坂 神奈子:
それは貴方に、だよ。私のお願いのせいで、
食事をする時間がなかったでしょう?
八坂 神奈子:
それなら、仕事の合間にでも
さっと食べられるかと思って。お饅頭よ。
犬走 椛:
(まだあったかい……。
もしかして、わざわざ出来立てを?)
犬走 椛:
こ、こんなもので、
誤魔化そうなんて……!
八坂 神奈子:
冷めないうちに、おあがりなさい。
それじゃ、ご苦労様。
犬走 椛:
……いただきます。
犬走 椛:
……すっごく、美味しい!
犬走 椛:
好き勝手に使われるのは、
やっぱり腹が立つけど……。
犬走 椛:
次に会ったら、お饅頭のお礼は、
ちゃんと伝えなくちゃね。