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守矢神社
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東風谷 早苗:
さあさあ、記者さん。こちらへどうぞ!
この守矢神社を、ぜひ記事にしてくださいな。
東風谷 早苗:
これからはメディアの時代。お客さんを集めるための
広報活動は欠かせませんから!
射命丸 文:
やれやれ。まあ人間の里向けの記事は必要だったので、
渡りに船ですかね……。で、特ダネは、どこに?
東風谷 早苗:
はい? 特ダネ? 別にないけど……。
普通に神社を紹介するんじゃ、ダメなんですか?
射命丸 文:
そりゃそうです。大衆とは、非日常性に惹かれるもの。
珍しい事件など、華になる話題は絶対に必要です。
射命丸 文:
ないのでしたら、自分たちで作っちゃうのも
アリかと。たとえば、報道写真展を開くとか……。
東風谷 早苗:
うーん、もっと楽しそうなのがいいです。
あっ! ロボ絵コンテストなんて、どうですか?
射命丸 文:
やれやれ、あなたの案も大概ですねぇ。
いいアイデアを一緒に考えましょう。
東風谷 早苗:
うーん……、難しいです。
射命丸 文:
どの企画も、イマイチ地味なんですよねえ。
パッと見のきれいさや、派手さに欠けるというか。
東風谷 早苗:
きれい、派手……。
あっ、そうだ!
射命丸 文:
あれま。走ってどこかに行っちゃいました。
なにか思いついたんでしょうか?
東風谷 早苗:
思った通り! 河童が、これを持ってました!
よいしょ……。さあ、飾りつけ、飾りつけ!
射命丸 文:
それは……イルミネーション?
木に巻き付けて、どうするんでしょう?
東風谷 早苗:
ふぅ。これで完成ね。
それでは、点灯しま~す!
東風谷 早苗:
外の世界では、冬になるとモミの木を飾るんです。
それが、とてもきれいだったのを思い出しまして!
射命丸 文:
これは驚いた。なんと美しい。
……記事のインスピレーションが湧いてきました!
射命丸 文:
『その絶景は、まさしく聖なる夜』
『大切な人を誘って、ぜひお越しを!』
東風谷 早苗:
せっかくだし、紙面はカラーにしましょう。
お金は出すので、いい写真を撮ってくださいよ!
射命丸 文:
お任せください!
絶対に、すてきな紙面にしますよ!
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翌日の夜
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東風谷 早苗:
ど、どうして……?
なんで誰も来てくれないの?
射命丸 文:
それが、あの紙面を見た人は、みんな
イルミネーションを人魂と思ったみたいで……。
東風谷 早苗:
えええ! そんなぁ……。それじゃ、
肝試しシーズンまで待つしかないの~!?