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妖怪の山
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東風谷 早苗:
はぁ……。掃除に儀式に、お客さんのお見送り……。
巫女の仕事も楽じゃないわ……。
河城 にとり:
毎日をがんばる、そこのあんた! こいつをご覧あれ!
河童マークの、最新式マッサージ椅子~!
河城 にとり:
温泉に置く予定の試作機だが、
今なら特別モニターとして、お試しできるぞ!
東風谷 早苗:
マッサージ椅子?
まあ、ものは試しね。お金を入れて……と。
マッサージ椅子:
ウィーン、ウィーン……。
東風谷 早苗:
お、おぉぉ。こ、これは……!
すっごく気持ちいい!
東風谷 早苗:
体が軽い! 肩凝りもない!
これなら残りの仕事も、がんばれそうです!
河城 にとり:
これで、この椅子のすばらしさが知れ渡るだろう。
大儲けの未来が見えるぞ。フッフッフ!
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次の日
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河城 にとり:
寄ってらっしゃい、座ってちょうだい!
疲れが吹き飛ぶ、マッサージ椅子だよ~!
河城 にとり:
ん? 椅子から変な音がしたな。
ま、まさか……
河城 にとり:
なんてこった! 中の機械が故障しちまった!
部品は持ってきてないし、これじゃあ直せない!
河城 にとり:
誰か来た! すぐ壊れるなんて噂が広まったら、
気軽にお金を入れてもらえなくなる……!
河城 にとり:
これじゃあ計画が水の泡だ!
と、とりあえず椅子の機械を外して……!
東風谷 早苗:
やっぱり今日もありましたね、マッサージ椅子!
お金を入れて、よっこいしょ……っと。
河城 にとり:
むぎゅぅ……。コラ! 重いぞ!
東風谷 早苗:
あら、幻聴? やっぱり私、疲れてるんだわ。
それにしても、なかなか動かないわね……。
河城 にとり:
……ウィーン、ウィーン。
東風谷 早苗:
あ~、極楽極楽。こんなすばらしい椅子があったら、
毎日温泉に通っちゃうかも。
河城 にとり:
……ウィーン、ウィーン。……はぁ、はぁ。
ウィーン、ウィーン。……ぜぇ、ぜぇ。
河城 にとり:
(重い! 蒸し暑い! 体勢がキツイ!
これじゃあ地獄だ! 助けてくれ~!)
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次の日
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東風谷 早苗:
あ、いたいた! にとりさ~ん!
またマッサージ椅子を……
河城 にとり:
も、もうやらないぞ!
マッサージ椅子は、もうこりごりだからな!
東風谷 早苗:
え、ええと……。
なにかあったのかしら?