-------------- 妖怪の山 麓 -------------- 東風谷 早苗: あら、あなたは地獄の番頭神の……。 なにか、お探しですか? 庭渡 久侘歌: ああ、守矢の巫女ですか。 ちょっと豊穣の神に用がありまして……。 庭渡 久侘歌: 実は、中有の道の屋台に食材を仕入れたいんです。 あそこは、地獄の貴重な財源ですから。 東風谷 早苗: なるほど。でも、この辺りでは、 お芋とか栗しかもらえないのでは? 東風谷 早苗: あそこの屋台って、お客さんは人間ですよね? 今どきの人間が、そんなもので喜ぶんでしょうか。 庭渡 久侘歌: ……むう。そんなこと言うなら、 売れると思う食べ物を教えてくださいよ。 東風谷 早苗: そうですねえ……。 あ! ひとつ心当たりがあります! 東風谷 早苗: 誰もが喜ぶ、大ヒットメニュー! すっごくジューシーで、酒肴にもピッタリ! 東風谷 早苗: 外はサクサク、中はやわらか……! 老若男女問わず、あれを嫌いな人はいないはず! 庭渡 久侘歌: おおお! とっても、おいしそうですね。 聞いてるだけで、よだれが出てきます! 東風谷 早苗: レモンをしぼると、また絶品なんですよ! アツアツの、から…あ…… 東風谷 早苗: (し……しまったぁ! 私が言おうとしてたの、 鶏のからあげだった……!) 東風谷 早苗: (ニワトリの神様にニワトリ料理を オススメするなんて……、大失態だわ!) 庭渡 久侘歌: 私も、それを食べてみたいです! 作り方を教えてください! お願いします! 東風谷 早苗: え、ええ!? えっと、その……。 秘伝のメニューなので、よくわからなくて……。 庭渡 久侘歌: 秘伝だなんて、ますます気になります! せめて材料だけでも、わかりませんか!? 東風谷 早苗: あの……。油や片栗粉を使うって、 聞いたことがあるような、ないような……。 庭渡 久侘歌: うーん、揚げ物の一種でしょうか? 調味料は塩が合いそうな気がしますね。 庭渡 久侘歌: とにかく、ありがとうございました。 自分でも調べたいので、名前を教えてください! 東風谷 早苗: な、名前は……、あの……。その……。 東風谷 早苗: ぜんぶ忘れてくださーい! 庭渡 久侘歌: あっ! 待ってください! お願いします! せめて名前だけでも~!