-------------- 守矢神社 -------------- 八坂 神奈子: あら、命蓮寺の住職じゃないか。 ため息なんかついて、どうかしたのかな? 聖 白蓮: はあ……。実は檀家さんのことで 悩みがあるんですよ。 聖 白蓮: 私が仏のありがたーい教えを説いても 「堅苦しくて難しい」って言われるんです……。 八坂 神奈子: それは大問題だね。ハードルが高いと 思われたら、信仰が集めにくいわよ。 聖 白蓮: だから悩んでいて……。万民に信仰を 広めるには、いったいどうすれば……。 聖 白蓮: ここは家族連れが多くて、羨ましいです。 貴方は何か、特別な工夫をしているんですか? 八坂 神奈子: 実は最近、新商品として特製お守りを作ったんだよ。 大人気でね。特別に、貴方にも見せてあげる。 聖 白蓮: むむむ……。やけにかわいいキャラクターが 描いてありますね。 八坂 神奈子: 「無事かえるお守り」というんだ。 うちの諏訪子がモチーフでね。 聖 白蓮: 「カエル」と「帰る」をかけたダジャレですか。 こんなファンシーなお守り、初めて見ました。 聖 白蓮: でも、宗教には威厳が必要なのでは……。 貴方はどういう考えで、このお守りを? 八坂 神奈子: 確かに威厳は必要だけど……。でもそれ以上に 親しみやすさも大切なんじゃない? 八坂 神奈子: 信仰って、日常生活と共にあるものでしょ。 身近に感じてもらうことも、重要だと思ってね。 聖 白蓮: なるほど……。言われてみれば、そうですね! この考え方は、命蓮寺にも活かせそうだわ。 聖 白蓮: 大切なことに気づかせてくれて ありがとうございます。それでは失礼します! 八坂 神奈子: 命蓮寺は、信者を取り合うライバル……。 もしかして、敵に塩を送っちゃったのかもね。 -------------- 数週間後 -------------- 八坂 神奈子: あら、おひさしぶり。 最近の命蓮寺は、とても賑やかだそうで。 聖 白蓮: はい、おかげさまで。貴方の教えをもとに いろいろ工夫してみたんです。 八坂 神奈子: 神の教えに従うなんて、変な宗派の住職ねえ。 で、どんなことをしてみたの? 聖 白蓮: 仏の教えを、言葉だけではなく絵も使って 表現してみました。……要するに、まんがです。 聖 白蓮: 子供にもわかる言葉と、魅力的なキャラクター。 「まんが仏教説話」は大人気になりました! 八坂 神奈子: ふーん。なかなか考えたじゃない。 私も今度、命蓮寺に寄ったら読んでみたいね。 聖 白蓮: 今度は、かわいい御朱印も作ろうと思ってます。 幻想郷中に、仏の教えを広めていきますよ! 八坂 神奈子: もう次の策を用意してあるとは、さすがだね。 まさにライバル。張り合いがあるよ! 八坂 神奈子: でも、幻想郷の信仰を集めるのは、私たちだ。 見てなさい。今度のイベントは、すごいからね!