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紅魔館
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比那名居 天子:
たのもー! 吸血鬼、いるかあー?
レミリア・スカーレット:
……騒々しいわね。
レミリア・スカーレット:
急に押しかけてきて大声を出すなんて、
マナーがなってないんじゃなくって?
比那名居 天子:
まあまあ。マナーは嫌いだけど、
テーブルマナーってやつは、押さえて来たよ。
レミリア・スカーレット:
……どういうことかしら?
比那名居 天子:
天界の桃はもちろんのこと、
庶民の料理も食べ飽きてきたんだよね。
比那名居 天子:
そこで、吸血鬼の館でフルコースディナーでも
いただこうかと思って。
レミリア・スカーレット:
それで、私が大人しく
ディナーを振る舞うとでも?
比那名居 天子:
当たり前だろう。私は天人だぞ。
この私に料理を振る舞えることを、光栄に思え。
レミリア・スカーレット:
はあ、呆れた……でも、そうね。今夜は特別よ。
貴方を、ディナーに招待してあげてもいいわ。
レミリア・スカーレット:
まずは、キャビアを使ったカナッペからね。
キャビアってわかる? チョウザメの卵よ。
比那名居 天子:
ふーん。これがサメの卵ねえ。食感も面白いし、
食べたことない味かも。……65点ってとこ。
レミリア・スカーレット:
何よ、その点数。
これが65点だなんて、わかってないわね。
レミリア・スカーレット:
……ま、いいわ。次は前菜、サーモンマリネよ。
薔薇みたいに巻かれていて、きれいでしょう?
比那名居 天子:
……む! 玉ねぎのほろ苦さとサーモンの甘みが
絶妙なハーモニーを奏でている……! 82点!
レミリア・スカーレット:
まあ、妥当な点数かしら。次は、お待ちかね!
メインディッシュ、ビーフシチューの登場よ!
比那名居 天子:
もぐもぐ。……う、美味い!! じっくり
煮込まれた肉に、ほんのりワインの風味が……!
比那名居 天子:
噛むたびに、口の中にじゅわ~っと溢れる肉汁!
まさに……そう!
比那名居 天子:
お口の中が、有頂天だあ~っ!!
申し分なし! 100点満点!
レミリア・スカーレット:
ふふ、満足してもらえたかしら?
……それじゃ、デザートにしましょうか。
比那名居 天子:
ん? なんで席を立つんだ?
レミリア・スカーレット:
最初に言ったでしょう?
私が、タダでディナーを振る舞うと思って?
レミリア・スカーレット:
私のお目当ては、今宵のデザート。
冷たくて甘酸っぱい、弾幕ごっこよ。
比那名居 天子:
ふーん、デザートねぇ……。
それ、さっきのビーフシチューより美味しいの?
レミリア・スカーレット:
当たり前でしょう?
昇天しちゃう、極上の味を披露してあげるわ。
比那名居 天子:
へぇ……。だったら、しっかり味わわないと。
全部たいらげても、文句言わないでよね!