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地霊殿
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古明地 さとり:
いらっしゃい、待っていましたよ。
私に歓迎されても、嬉しくはないでしょうけど。
アリス・マーガトロイド:
貴方がどれほど嫌われ者でも、
今日は私のお客様よ。さあ、受け取って。
アリス・マーガトロイド:
注文された人形は、すべて仕上げてきたわ。
全部で20体あるはずよ。
古明地 さとり:
あら。この子はこいし。お空に、これは霊夢ね。
ふふ。思った通り、さすがの出来だわ。
アリス・マーガトロイド:
気に入ってもらえたなら何より。
……でも、少し意外だったわ。
アリス・マーガトロイド:
あなたから、人形作りを頼まれるなんて。
いつから、そういう趣味があったの?
古明地 さとり:
ただの思い付きですよ。心を持たない人形は、
心を読む力を持つ私を嫌うこともないでしょう?
古明地 さとり:
なら、私がそばに置くものとして、これほど
安心できるものも他にないんじゃないかしら……って。
アリス・マーガトロイド:
ふうん。まあ、代金はもらっているし、
理由はなんでも構わないけど……。
アリス・マーガトロイド:
あ、そうそう。大量注文のおまけに、
もう一体人形を作ったんだったわ。どうぞ。
古明地 さとり:
これは……、私の人形?
いらないわ、こんな……。
アリス・マーガトロイド:
これだけ幻想郷の住人がいて、あなただけ
いない方が変じゃない? ほら、仲間に入れてあげて。
古明地 さとり:
あ。私の人形が動いて、他の子たちの所に……。
アリス・マーガトロイド:
ふふ。身を寄せ合って、かわいいじゃない。
じゃあ、私は帰るわ。人形、大事にしてあげてね。
古明地 さとり:
……自分たちを模した人形が、かわいい?
ウデはいいけど、変わった人ね。
古明地 さとり:
でも……、そうね。今度、人形たちが
みんなで入れる家でも作ろうかしら。
古明地 さとり:
……その方が、貴方も寂しくないものね?
布と綿でできた、小さなかわいいサトリさん。