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地霊殿
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古明地 さとり:
あら? そこにいるのは……、
村紗 水蜜:
あ、地霊殿の主さん。
勝手にお邪魔してしまい、申し訳ありません。
村紗 水蜜:
実は私、貴方の妹さんに、今一番お気に入りの
柄杓をとられてしまいまして……。
村紗 水蜜:
アレなしでは、舟幽霊もあわや廃業。
ということで、こちらまで探しにまいった次第です。
古明地 さとり:
まあ。それは、うちのこいしがごめんなさいね。
さ、どうぞこちらへ。屋敷を案内しますわ。
古明地 さとり:
地霊殿は、とても広いのです。闇雲に
探していては、日が暮れてしまいますからね。
村紗 水蜜:
それはありがたい! しかし、
貴方たち姉妹は、ずいぶん雰囲気が違いますね?
古明地 さとり:
同じ食事を摂っていると、人は似てくるといいます。
私たちは、あまりいっしょにいないので……。
古明地 さとり:
でも、一人の姉として、関心はあるのですよ?
どこで何をしているか、何を食べているのか……。
村紗 水蜜:
では、道すがら、お聞かせしましょう。
私が知る妹さんの、生き生きとした暮らしぶりを。
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10分後
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村紗 水蜜:
……というわけで。結果的に、私は
妹さんのおかげで、血の池断ちに成功したのです!
古明地 さとり:
ふふっ。もう、あの子ったら……。
古明地 さとり:
少し、安心しました。あの子は、
命蓮寺の人たちとも仲良くやれているんですね。
古明地 さとり:
教えてくれて、ありがとう。貴方には、
いつかちゃんとした形で、お礼がしたいわ。
村紗 水蜜:
いえいえ、そんな……。柄杓探しを
手伝っていただくだけで、充分ですよ。
古明地 さとり:
無欲ですねぇ……あ、ここです。こいしが、
よく拾い物を隠していく窪みは……、よいしょっ。
村紗 水蜜:
うわっ!? これは……、大量の柄杓!?
それも、これ全部、私のじゃないですか!
村紗 水蜜:
失くしたと思っていたアレやコレ……あっ!?
ウン年前の舟幽霊フェスの限定柄杓まで、ここに?
古明地 さとり:
しかも、どれもボロボロだわ。底が抜けてたり、
柄が折れてたり……あの子、どういう使い方を?
村紗 水蜜:
……あのー、お姉さん? 先ほど、
お礼なんて結構と申したばかりの私ですが……。
古明地 さとり:
ええ……。新しい柄杓を贈らせていただきますね。
もう。元気なのはいいけど、困った子なんだから。