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輝針城
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火焔猫 燐:
お願い! 小槌で猫車をおっきくして!
死体をたくさん運びたいんだよ~。
少名 針妙丸:
ダメダメ! これは本当に危険なモノで、
そう簡単には使えないの!
少名 針妙丸:
ホイホイ他人に使わせて、
また異変でも起こったら大変だし!
火焔猫 燐:
んもう~、強情だなぁ! 見てよ、この猫車。
お客さんもギュウギュウでパンパンなの。
火焔猫 燐:
ほら、試しに乗ってみてよ。
おっきくしないとダメだって、わかるはずだから!
少名 針妙丸:
だーかーらー! そんなことしても私は……
って、わー! 何するのよー!?
少名 針妙丸:
ぎゃあー! 猫車の中、ガイコツだらけじゃない!
お客さんって、コレのことーー!?
火焔猫 燐:
ええい、無理やりにでも体感してもらう!
ちゃんと掴まってなよ。そら、いくぞー!
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10分後
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火焔猫 燐:
どう? 試しにお城を一周してみたけど、
猫車の狭さがわかった?
少名 針妙丸:
(うぇぇ、死体の残り香でそれどころじゃ
なかったよ。なんて自分勝手な妖怪なんだ!)
少名 針妙丸:
(……こうなれば、奥の手を実行するのみ!)
少名 針妙丸:
よーくわかった。
確かに、この猫車は手狭だね。
火焔猫 燐:
でしょでしょ?
やっと話を聞いてくれる気になったね。
少名 針妙丸:
よし。それじゃ、この小槌を貸してあげるよ。
少名 針妙丸:
ただし、いま使っちゃダメだよ。貴方のお家に
帰ってからじゃないと、効果がないんだ。
火焔猫 燐:
やったー! どうもありがとー!
大切に使わせてもらうよ!
少名 針妙丸:
ちゃんと貸したんだから、
あとで文句を言いに来ないでよね。
火焔猫 燐:
ふんふふーん♪
それじゃ、さっそく小槌を使ってみよう!
火焔猫 燐:
……あれ? 猫車がおっきくならないぞ?
火焔猫 燐:
え? あれれ? なーんにも変わらない。
ま、まさか……、ただの小槌?
火焔猫 燐:
あんの小人め~!
あたいをだましたなあー!?
火焔猫 燐:
つぎ訪ねたときは、だまし返して、
地獄の猫車ドリフトを味わわせてやる~!