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地霊殿
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火焔猫 燐:
……ふむふむ、さとり様が書いている
ホラー小説のモデルをやってほしい、と。
古明地 さとり:
ええ。最近スランプ気味でね。
何かこう……、リアリティが欲しいのよ。
古明地 さとり:
お燐なら、怨霊を自由に操れるでしょう?
それを使って、私を怖がらせてくれないかしら?
火焔猫 燐:
さとり様の頼みなら、なんでもやりますよ!
それで、どんなシーンをやるんですか?
古明地 さとり:
霊の群体、突然の爆音、影絵、
ポルターガイスト現象、化け猫襲撃……。
古明地 さとり:
ありったけの恐怖シーンを詰め合わせてみたの。
どう? やれそう?
火焔猫 燐:
あたいに不可能なことはありません!
きっと、さとり様を怖がらせてみせますよ!
火焔猫 燐:
では、これならどうですか!
シギャアァァァァ!!
古明地 さとり:
ぜんっぜん、怖くないわ。そもそも、
私の能力で、お燐の心を読めてしまうのよね……。
火焔猫 燐:
しょぼーん……。
古明地 さとり:
人間だったら、このレベルでも怖がるのかしら。
うーん……悩みどころね。
古明地 こいし:
た~だ~い~……まっ!!
古明地 さとり:
うわあっ! ビ、ビックリした……。
こいし、帰ってたのね。
火焔猫 燐:
ふふふ。いくら、さとり様と言えど、
こいし様には無防備なようですね……。
古明地 さとり:
ええ。本当にびっくり……そうだわ!
こいしをテーマにした小説を書けばいいのよ!
古明地 さとり:
そろ~っと忍び寄る、正体不明の妖怪。
いつの間にか傍にいて、襲い掛かってくる……
古明地 さとり:
これは、名作の予感ね。
さっそく、執筆に取りかかりましょう。
火焔猫 燐:
えっ! さ、さとり様?
モデルは、もういいんですか……?
火焔猫 燐:
うぅ。結局、こいし様に持っていかれちゃった。
あたいが頑張った意味は……。
古明地 さとり:
よし、書き終わった。
お燐、まずは貴方が読んでみてちょうだい。
火焔猫 燐:
え、あたいがですか?
まあ、さとり様がそう言うなら……。
火焔猫 燐:
忍び寄る正体不明の妖怪。
その妖怪は、ある館に出ると噂されていた……。
火焔猫 燐:
館には、怨霊使いの化け猫も住みついており、
怨霊の恐怖を振りまいて……あれ、これって!
古明地 さとり:
こいしだけじゃなく、お燐のことも入れてみたわ。
いろいろと頑張ってくれたからね。
火焔猫 燐:
さとり様~、ありがとうございます!
この小説、きっと大人気になりますよ!
古明地 さとり:
うふふ、よかったわ。よし、この本を幻想郷中に
流行らせて、ホラーブームを作るわよ~。