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マヨヒガ
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火焔猫 燐:
猫の楽園は……っと。お、あったあった。
マジカルマタタビがあるっていうのは、ここか。
火焔猫 燐:
普通のマタタビの100倍効果がある、
なんて噂だけど、どうも胡散臭いんだよね。
火焔猫 燐:
そんなけったいな噂を流すなんて、
何が目的なんだか……お、ご本人の登場だね。
橙:
ふっふっふ、簡単に引っかかった♪
噂の効力は、絶大だねー!
橙:
強い猫をしもべに加えたくて噂を流したけど、
どうやら大成功だったみたい!
火焔猫 燐:
そういうことか。悪いけど、そんなのハナから
信じてないし、マタタビにも興味ないよ。
火焔猫 燐:
あたいはね、なんであんたがそんな噂を流したのか、
そっちが気になって、様子を見に来たんだ。
橙:
ええ、うそー!?
猫なのに、マタタビに興味がないの!?
火焔猫 燐:
あのねぇ……。猫がみんなマタタビ好きなんて、
あんた、ちょっと安直すぎるよ。
火焔猫 燐:
いい? あたいを本気で釣るんだったら、
100体分の死体を用意しておくこと!
橙:
100体の死体……!? やだー、なんか
ゾワっとする! あんた、そんなのが好きなの?
火焔猫 燐:
うん! 三度の飯より、死体が大好きさ!
橙:
はぁ~~。世の中には、
いろんな趣味の妖怪がいるんだねぇ!
火焔猫 燐:
というか、100倍効果のマジカルマタタビなんて、
もうちょっとマシな嘘をついたら?
橙:
……マジカルマタタビ? 私が流したのは、
倍の大きさの、スペシャルマタタビの噂だよ?
火焔猫 燐:
え、なにそれ? じゃあ、
あたいが聞いた噂は、なんだったんだ?
橙:
100倍効果のマタタビ……そんなのあるんだね!
絶対、手に入れなくちゃ!
火焔猫 燐:
いやいやいや、なんでそうなる!?
そんなの、あるわけないでしょ。
橙:
こうしちゃいられないー!
探しにいくぞー!
火焔猫 燐:
噂を流すのが下手で、人の噂には惑わされやすい。
やっぱり、安直な化け猫だねぇ……。