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玄武の沢
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古明地 こいし:
この辺に河童さんが……、あ、いた!
もしもーし。今、目の前に来たよー!
河城 にとり:
うわっ!? 急にびっくりするだろ!
まったくもう、私に何か用?
古明地 こいし:
あなた、機械に詳しいんでしょ?
この電話を直してほしいの。
古明地 こいし:
前に、外の世界から来た人が
落としていったんだけど、全然動かなくって。
河城 にとり:
これが電話だって? ただの板みたいだな……。
でも、外の世界の機械なら、調べたいね。
河城 にとり:
よし、私が直してみせようじゃないか!
古明地 こいし:
やったー! これで『メリーさんの電話』ごっこで、
もう一回遊べるかも!
河城 にとり:
なんとか電源はつくようになったが……。
古明地 こいし:
でもこれ、どうやって使うの?
ボタンとかついてないよ?
河城 にとり:
作ったやつが、つけ忘れたのか? なんにしても、
操作方法がわからないと、電話もかけられないな。
古明地 こいし:
そんなぁ……。せっかく遊べると思ったのに。
河城 にとり:
おわ!? なんか画面が変わった!
なんか電話みたいな絵が、二つ出てきたぞ!
古明地 こいし:
隠しボタンかな? とりあえず押してみよう!
うーん……こっち! えい!
メリーさん:
『私、メリーさん……。
今、無縁塚にいるの……』
古明地 こいし:
え……?
今の、本物のメリーさんだよね!?
メリーさん:
『私、メリーさん……。今……』
河城 にとり:
お、おい、あんた……!
メリーさん:
『妖怪の山の、ふもとにいるの……』
河城 にとり:
今かけてきてる、この板みたいな電話の使い方、
知ってるか!?
メリーさん:
『へ? 板みたいな電話って、スマホのこと?
だったら、一応……わかるけど』
河城 にとり:
よし、だったら、そこを動くなよ! あんたには、
電話について、教わりたいことが山ほどある!
古明地 こいし:
メリーさんのことも色々知りたい!
怖がらせ方とか、教えて!
メリーさん:
『え? く、来るの? そっちから?
それじゃあ、メリーさんにならない……』
河城 にとり:
待ってる時間がもったいないだろ?
こっちは早く、この電話のことを知りたいんだ!
古明地 こいし:
さ! 後ろに来てもいいよ!
いつでもウェルカム!
メリーさん:
『いや、そんな歓迎されても……。
もういいです。失礼しました』
河城 にとり:
あっ、切れた! 逃がすもんか! 無縁塚か
妖怪の山のふもとって言ってたな。急いで探すぞ!
古明地 こいし:
うん! 待っててね、メリーさん!
すぐに行くからね!