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人間の里
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ナズーリン:
うーん。命蓮寺に行くには、
ちょっと早いし、ここで時間でもつぶすか。
ナズーリン:
それにしても、急に「寺へ来てほしい」なんて、
ご主人様、いったいなんの用事だろう……。
???:
あっ、すみません! 急いでおりますので、
このお詫びは後ほど必ず……!
ナズーリン:
いった!? もー、なんなの?
気をつけてよね……って、んん?
ナズーリン:
あれは、聖? なんであんなに急いでるんだろ?
……ちょっと後を追ってみよう。
聖 白蓮:
このお店にもありませんね。
あれじゃなきゃダメなのに……。
ナズーリン:
あっ、また別のお店に入った!
何か買うつもりなのかな?
ナズーリン:
そういえば、聖が最近、高い買い物をしたって
ご主人様が言ってたっけ。何か関係が……。
聖 白蓮:
ふぅ、よかった。これでひと安心ね。
ナズーリンにだけは、バレないようにしないと。
ナズーリン:
私にバレないように……? あ、何か持ってる!
私に何かをするつもりなのか? ……よし。
ナズーリン:
やあ、聖! こんな所で奇遇だね。
聖 白蓮:
ナ、ナズーリン!?
どうして貴方がここに……!
ナズーリン:
聖を追ってきたんだよ。いったい何を買ったの?
場合によっては、毘沙門天様に報告を……。
聖 白蓮:
……バレては仕方ありませんね。
さっき買ったのは、これなんです。
ナズーリン:
これは……湯呑み?
なんでまた、こんなものを?
聖 白蓮:
これは貴方の湯呑みですよ、ナズーリン。
貴方にプレゼントするつもりで買ったんです。
聖 白蓮:
実は、今日渡すつもりだったのですが、
私の不注意で割ってしまい、急いで買いに……。
ナズーリン:
えっ!? じゃあ、聖の高い買い物って……。
ていうか、今日私が寺へ呼ばれたのも!
聖 白蓮:
これを渡すためだったんです。
すみません、こんなかたちになってしまって。
聖 白蓮:
本当は、もっといろいろと準備して
驚かせるつもりだったんですが……。
ナズーリン:
そ、そうだったんだ……。
でも、そもそもなんで、私に湯呑みを?
聖 白蓮:
私たちは、いつも貴方を仲間だと思っています。
この湯呑みは、その証のようなものです。
聖 白蓮:
改めて、これを貴方に贈ります。
命蓮寺は、いつでも貴方を歓迎しますよ。
ナズーリン:
回りくどいことをしたもんだね。
……まあ、ありがたくもらっておくよ。