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人間の里
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ナズーリン:
ふう。今日は、こんなところかな。
依神 女苑:
あーら、妖怪ネズミじゃない。
こんな人里で何してんのよ。
ナズーリン:
ああ、奇遇だね。
私は、ここでお宝探しをしてて……。
依神 女苑:
お宝探しぃ? また例のダウジングってやつ?
その割には、何も持ってないようだけど。
依神 女苑:
わかったわ! さては収穫ナシね、ダッサ~い!
この女苑様が、お手本を見せてあげるわよ。
ナズーリン:
はあ? いや、別にお手本なんて……。
依神 女苑:
どぉー? すっごいお宝でしょ?
金や銀に、宝石の数々……。
ナズーリン:
ほ~う! こりゃ確かに、すごいね。
こんな量の宝石、初めて見たよ。
依神 女苑:
でしょでしょ! 私にかかれば、こんなもんよ。
羨ましいかしら? 少しくらいなら分けて……、
ナズーリン:
いや、別にいらないよ。
依神 女苑:
えっ……? な、なによ。強がってるの?
私が分けてあげるって言ってるのに!
ナズーリン:
うーん。だって、私の探すお宝は、
そんなキラキラした物じゃないんだ。
ナズーリン:
外の世界の物や、誰も見たことがない未知の物、
そうした物を、私は探してるんだよ。
依神 女苑:
ふん! せっかく分けてあげようと思ったのに!
お布施の精神ってやつがわかんないの?
ナズーリン:
でもそれ、人間たちから巻き上げたものだろう?
そんなものを、お布施って言うのかな……。
ナズーリン:
まったく、聖の所で何を修行してたんだか。
依神 女苑:
な、何よっ! 文句でもあるわけ!?
ナズーリン:
いや、別にないよ。
それじゃ、私はそろそろ帰るからね。
依神 女苑:
ぐ、ぐぬぬ……。
ネズミのくせに、生意気なのよーっ!