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博麗神社
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多々良 小傘:
毎度あり~!
お客さん、ウチの針の出来はどうです?
博麗 霊夢:
うまくできてるわ。
自分が退治されるための針を、よく作るわねえ。
多々良 小傘:
へへ、それは言わないお約束!
ところで、他に何か、お仕事ありませんか?
博麗 霊夢:
ないわよ。
ご苦労さま、もう帰ってちょうだい。
多々良 小傘:
そこをなんとか! 鏡でも神具でも
なんでも作ってみせますから~。
博麗 霊夢:
(しつこいわねえ……懐がさみしいのに。
難癖つけて追っ払っちゃおうかな)
博麗 霊夢:
じゃあ、神額を頼める? 鳥居の上に
飾ってあるアレね。ボロくなっちゃって。
多々良 小傘:
神額ですね。がってんです!
とびっきりのを作りますね!!
博麗 霊夢:
……ま、何回かやり直させれば
諦めるでしょ。
多々良 小傘:
お待たせしました!
こちらでどうです?
博麗 霊夢:
うーん、色合いが鳥居に合わないわね。
悪いけど、作り直してきて。
多々良 小傘:
なるほど、わっかりましたー!
博麗 霊夢:
小さくまとまりすぎてるわ。
もっとダイナミックにお願い。
博麗 霊夢:
えーっと、ここの角度が……。
ちょっと違うかも?
多々良 小傘:
ど、どうでしょうか?
博麗 霊夢:
……うーん、負けたわ。
もう、なんでそんなに素直に頑張れるのよ。
多々良 小傘:
え、負け? なんのことですか?
博麗 霊夢:
いえ、ありがとう。とてもいい出来よ。
お代は……近いうちに払うわ。
多々良 小傘:
ありがとうございます!
お得意様ですもん、少しくらい待ちますよ!
博麗 霊夢:
それと、ひとつ借りにしておくわ。
だいぶ無理を言っちゃったし。
多々良 小傘:
いえいえ。私も良い仕事ができて満足なので。
では、今後ともよしなに~!
博麗 霊夢:
さて、この神額、どうしようかな。
さすがに派手にしすぎたのよね。
博麗 霊夢:
せっかくいい出来にしてくれたんだし、
社務所にでも飾っておきますか。