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守矢神社
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多々良 小傘:
たのもー! 外の世界の傘に詳しい
巫女さんはいますかー!?
東風谷 早苗:
な、なんですか急に。
外の世界の傘ですって?
多々良 小傘:
あ、いたいた! 最近、傘のお化けなんかに
驚く人間も減ってしまって……。
多々良 小傘:
そこで、最先端の傘事情を勉強して
傘としてのあり方を見直そうと思うんです!
東風谷 早苗:
うーん、別に傘に詳しくはないんですけど。
聞いたことがあるのは……。
東風谷 早苗:
先端から風を吹き出して雨を弾く
棒状の傘、なんてありましたね。
多々良 小傘:
棒から風を? 変わった魔法ですね。
天狗の力でも借りてるんでしょうか?
東風谷 早苗:
あとは、頭に装着するドーム型の洋傘とか。
円形ではない、片側に偏った形の傘なんてのも。
多々良 小傘:
ほえ~、外の世界の人間は
面白いことを考えますねえ。
東風谷 早苗:
ええ、常識に囚われない発想が大事なんです。
それは、この幻想郷でも同じはずです。
多々良 小傘:
でも、なんだかどれも使いづらそうです。
そういう傘って、ちゃんと流行ってます?
東風谷 早苗:
流行ってないですねぇ。
新しい形が出ては消えていく感じです。
東風谷 早苗:
結局は、普通の形の傘ばっかりですよ。
まあ、貴方は形に関係なく流行りませんけど。
多々良 小傘:
しくしく。それにしても、まさかの進化なしかぁ!
じゃあ私は、どうしたら……。
東風谷 早苗:
うーん。無理に新しさを考えるよりも
古い歴史からヒントを探しては?
東風谷 早苗:
ほら、傘って、昔は神具として
神の威光を示すために使われましたし。
多々良 小傘:
神の威光かあ。たしかにそんなの出せたら
驚かれるかもしれないけど……。
多々良 小傘:
そうか、驚かせるといっても、
恐怖じゃなくて感心させたっていいのよね。
東風谷 早苗:
ああ~! そういえば、外の世界では
傘の上でモノを転がす芸が人気でしたね。
多々良 小傘:
あっ、大神楽ですね!
なるほど、その手がありましたか……!
多々良 小傘:
よーし、伝統芸をいろいろ調べてみます!
ご助言、ありがとうございました!
東風谷 早苗:
人を楽しませる、から傘お化けの誕生か。
やっぱり、常識に囚われてはいけませんね。