--------------
聖輦船
--------------
村紗 水蜜:
あら、いらっしゃい。
遊覧船でしたら、こちらですよ。
河城 にとり:
私、空飛ぶ船に乗りたい!
のせてのせてのせてー!
村紗 水蜜:
はい。ではすぐ出発しますね。
いきますよ、しゅっこーう!
河城 にとり:
いい景色だなー! 風も気持ちいいし!
河城 にとり:
飛んでから何もしてないけど、
船はどうやって飛ばしてんの?
村紗 水蜜:
あ、私船長だけど、船は自動で動いてるの。
聖の力だから、うん。何もしてないわね。
河城 にとり:
えー……じゃあ、機械とかじゃなくて、
妖力とか魔法で動いてんのかー。
河城 にとり:
魔法とか神さまなら、なんでもありだもんなー。
機械が空を飛ぶほうが夢あるのに……。
河城 にとり:
ねぇねぇ、この船さぁー、
改造して、戦艦にしちゃおうよ!
河城 にとり:
いいアイデアだと思うんだよねー!
メタリックな鋼鉄の船体がズシーンで!
河城 にとり:
甲板に主砲ボンボンぶっ刺してさー!
艦首には巨大電磁砲で障害を消し飛ばして……。
河城 にとり:
ロケットエンジンで月まで行けちゃったり!!
ちょー夢あるよねー!!
村紗 水蜜:
ダメです。ゼッタイ、ダメッ!
機械の船なんて、ありがたみが薄れますし……、
村紗 水蜜:
そもそも、これは聖から頂いた船です。
改造なんて罰当たりなこと、できません。
河城 にとり:
船長わかってないなー。見せてやりますよ!
機械仕掛けのロマンってやつを! かかれー!!
村紗 水蜜:
ええ!? いつからこんなに……?
お、お願い。船だけは傷つけないで!
村紗 水蜜:
……って、あら? 河童たちが
この船の横に、何か巨大なものを作って……?
河城 にとり:
みろー!! こちとら戦艦じゃーーい!!
かましたれー! 主砲はっしゃあーーっ!!
河城 にとり:
ひゅい!? 発射の振動で、く、崩れるぅ~!
まだだ! まだロマンは終わらんぞぉ~!!
村紗 水蜜:
落ちてっちゃった。
そう。これが、機械仕掛けのロマンなのね……!